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Re: *叶恋華* +実話+ 50話達成! ( No.245 )
日時: 2011/02/16 21:05
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: kuEj07Eu)
参照: 感情一つ消せるのなら 「好き」を消せば楽になれるかな(by.Calc.

+番外編+ 『眉抜きの日(後編①)』


「——今のって、望の声?」


一方、望が居る階段近くのお風呂場——。
その狭いお風呂場の中に、珠紀壱と三井孝文、そして七瀬龍夜という男三人が隠れていた。


「ていうか、孝文でかい。俺より年下のくせに」
「壱先輩だってでかいじゃないっすか」
「俺から見たら、孝文も壱先輩もどっちもでかいんですが」


170cmの孝文。おそらく165cm位の壱。148cmの龍夜。
その男三人が狭い風呂場でぎゅうぎゅう詰めになっているのだ。


「……あー。なんか俺、汗かいた。ここ風呂場だし、シャワー浴びていい?」
「バレるじゃねぇかよ」
「そして俺たちにもシャワーの水がかかる」


先輩とは思えない発言をする、珠紀壱。
それに比べ後輩二人は、冷静であった。


「俺も孝文みたいに、ハゲにしようかな」
「俺、坊主ですけど」
「壱先輩、美里奈たちに頼めば髪の毛も抜いてもらえるよ」
「は? やだよ。俺、髪ロンガーだし。眉毛もロンガーにするし」


壱は何故か自慢気に言った。
孝文と龍夜は呆れ返り、溜息をついた。


その時、


「——誰かの話し声、聞こえなかった?」
「「「!?」」」」


愛可の声が聞こえてきた。


男三人は目を見開き、孝文と龍夜は慌てて壱の口を塞いだ。


「話し声? 美里奈には聞こえなかったし」
「えー? どっからだろう。こっちから聞こえたような……」


眉毛抜き主犯格——……美里奈まで居る。
非常にまずい、この状況。
龍夜と孝文は目で合図をし合い、一斉に壱を睨んだ。


「モガーゴモガモオゴ(なんで睨むんだよ)」
「壱先輩が変な発言ばっかするから!」
「モゴゴゴゴ、モゴオォォ(変な発言ってなんだよ)」
「もう黙ってください」


三人は愛可と美里奈に聞こえないくらいの小声で話す。
『眉毛が抜かれる』となると、三人とも必死だった。


「——ここかなぁ?」


すると愛可はお風呂場のドアの取っ手を掴み、開けようとした。
三人は目を見開き、息をのんだ。


「モゴオオオオオオオオオオオ(あっち行けぇぇぇぇ)」
「「黙れ!!」」


壱が小声でそう叫ぶと同時に、カチャッ……とドアが少しずつ開かれる。
——もうダメだ——……!!
三人はそう思い、固く目を閉じた。


しかし、


「愛可! そこはいいから、行くよ! 森野がこっちに来いって呼んでる!」
「また森野ぉ……? 怜緒と優志に会いたいよぉ」


完全にドアが開かれる寸前で、美里奈は愛可の手を掴み去って行った。
それと同時に、辺りに沈黙が走る。


「……モゴ?(行った?)」
「……行っ、た」
「助かったぁ……。美里奈、ナイス!」


三人の力が一気に抜け、張りつめた緊張は安心へと変わった。
が、


「うわぁ!?」


龍夜が叫んだ。
壱と孝文は驚きながら龍夜の方を見た。


「……ちょっと、そんな驚かないでよ」


ドアの隙間から、長いサラサラな黒髪を覗かせる少女——……。
七瀬香織が、そう言いながら三人を軽く睨んだ。


「香織も私も眉毛残り組だから、安心して」
「うんうん。……こんなところに隠れてたんだね、三人」


香織の横に居た水城依麻も、眉毛を強調しながら三人を見た。
三人は「驚かすなよ」と笑みを浮かべ、小さく溜息をつく。


「……ていうか、もう眉毛残ってるの私らだけだよ」
「まじで? じゃあ皆——」
「私と依麻、ずっと一緒に居たんだけど——。由良達が眉毛なくなる姿も見たし、ここに来るまでに最年少二人組が押し入れのところで白目向いて気絶してるのも見てきたよ」


最年少二人組とは、辰雅と康義の事だ。
二人は森野に襲われた後、押し入れから首だけ出して白目をむいて気絶していた。
そんな二人のおでこには、森野の字ででっかく『I LOVE 美里奈』と書いてあり、右頬には『MA YU GE』と書かれ、左頬には『I AM MA YU NA SHI』と書かれていた。


「なんだよ、そのアピール」
「森野は何がしたかったんだ……」
「知らないよ。……でも多分、森野も眉毛を抜かれたんだと思う」


香織はそう推理し、一同は頷いた。
その時、


「——GE、MAYUGE、世界はMAYUGEで回ってる〜……ぅう〜……えむ、えー、わい、ゆー、じー、いー! MAYUGEッ!」


大変音痴な、変な歌が聞こえてきた。
一同は吹き出すのと同時に、嫌な予感がよぎった。


「ジッチャンもバッチャーンも〜、みんなぁーで一緒にMAYUGEを全剃りソリ〜」
「ソ————リ———ッ! ヒゲソ——————リ————! アイムソ———————リィィィィィィィィィ————————————ッ!! エビバデ」


音痴なコーラスも入り、歌は更におかしなものとなっていた。
こんな音痴な低い声で、変な歌を歌う二人なんて——。


「森野と望……だよね? ……ぶはっ」
「うん……ぶっ、やば」


依麻と香織は笑い混じりにそう言った。
そう、変な歌を歌っているのはこの二人。
森野は音程を外しながら低い声で歌い、望は無理矢理高い声を出し……。
そう、まるで黒板の「キーッ」みたいな声を出しながら、コーラスを歌っていた。


「MAYUGEって〜抜いても剃っても生えてくる〜」
「カモーンカモーン」
「だから俺は抜く〜ン〜その方がMIRINAに好かれるからアア〜」
「アイラブユーアイラブユー」
「MAYUGEが愛しくて〜ェェ〜プチ太郎〜」
「プチ太郎〜ハ○太郎〜」
「森野様はイケメ〜〜〜ン〜〜MAYUGEがなくなって〜〜ェェ〜〜」
「更に磨きがかかったYO! YOYOYOYOYO、MAYUMAYUMAYU、MAYUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE」
「「アンバランスッ」」


……なんなんだ、この歌。
一同はそう思いながら、二人の様子を見ていた。
——見事に二人とも、眉毛がない。


そう思った瞬間、


「マユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲマユゲ」


森野がこっちに気付き、何故かブリッジしながらすごいスピードでこっちに来た。




番外編が思ったより長い←
というか、森野と望が狂い過ぎた……←
もうクレイジーですね、この番外編←
でも書いてて楽しいでs(ry