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Re: *叶恋華* +実話+ 番外編更新(眉毛中毒にご注意ください ( No.257 )
日時: 2011/02/19 04:19
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 8ENiVmB9)
参照: 「だから、ねぇ… 貴方の声を聴かせて お願い」(by.futatsu 

第五十五話『reason』


家に帰って、私はずっと考えていた。
優の言葉が気になる——。
壱が、なんて言っていたのか。


「……優、家に帰ってきたかな……」


このままじゃ、考え過ぎて頭がパンクしそうだ。
私は悩んだ末、優にメールを送ることにした。

from.依麻
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もう家に帰ってきてるかな?

あのさ、今日の壱が言ってた理由……。
どうしても、気になるんだよね。
よければ、教えてくれないかな?

メールみたらでいいので、返事待ってます><
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どうしてこの時、私は聞いちゃったんだろう。
今思えば、友達を傷つけたのも君を傷つけたのも全部——。
私のせい、なのに。


私はのちの出来事なんて知らないまま、優にメールを送った。


**


しばらくして、携帯が点滅した。
私が慌てて携帯を開くと、やっぱり優からのメールだった。


from.優
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だって、その理由知ったら……。
依麻泣いちゃうかもしれないし
傷つくでしょ?
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優のメールの内容を見て、私はしばらく考えていた。
泣いちゃうかもしれない。傷つくかもしれない。
だけど——……。


私は、どうしても知りたい。


from.依麻
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それでもいいよ。
私は大丈夫だから^^
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怖いけど——。
知りたい。
壱がどんな風に、私を想っているのか——。


やめとけば、よかったのに。
私は、知りたかったんだ。


「——……」


数分後、優から返事が返ってきた。
私は恐る恐る携帯を開き、受信ボックスを見る。


from.優
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「水城のことどう思ってる?」って聞いたら、
「どーも思ってないし知らない」って言ってたんだ……。
んで「告られたらどうする?」って聞いたら……
「やめとく」みたいな事を言ってた……

本当に泣いたりしないで><
あんまり言いたくなかったけど、
依麻が知りたいって言ったからちゃんと言ったけど……。

本当に、自殺とかリスカとかしないでね><
私みたいにならないで!
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『なんとも思ってない』『やめとく』……かぁ。
まぁ話したことないし、いきなり好きって言われても困るよね。


ふと、私は授業中の消しゴム作戦の事を思い出した。
なんとも思ってないなら、戸惑いなく消しゴムくらい拾ってくれるよね?
あれはどうなのかな……?
私と会話したくないくらい、嫌われてる……のかな……?


「……うーん」


そうなのかも。
私が壱にいくらメールを送っても返ってこないし……。
なんかもう……、どうしよう。
私はぼんやりとした思考で、メールを打った。


from.依麻
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そっか!
わかったよ〜^^
うちは本当に大丈夫だから!
絶対泣かない、約束する。
教えてくれてありがとうね。

他に何か、言ってたりした?
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from.優
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他ゎ……言ってない! それだけ!

ゴメン、今日はもうメールやめるねww

明日ねw
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私は優に返信を送り、その後はずっと携帯を見つめていた。
何度も何度も……壱の理由の言葉を考えていた。
『何とも思ってない』『どうでもいい』『やめとく』——・


「……はぁ」


考えれば考えるほど、よくわかんない。
もう、この変に期待して自意識過剰な自分がいやだ。
私が期待したら、必ずその反対の事が起こるのに——。
なんで期待しちゃったんだろう、私。


もう何もかもが嫌だ。
嫌だいやだイヤダ。


壱の顔が思い浮かび、目の前の携帯画面が揺れる。
——私、しばらくしないうちに、なんでこんなに涙腺が弱くなったんだろう。


なんでこんなに壱のこと、好きになっちゃったんだろう。


「……っ、」


駄目だ。
本っ当、私馬鹿だな……。


ごめん、優。
泣かないって言った約束、破っちゃうね——。


私は一人、部屋で声を殺して泣いた。