コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 55話更新! ( No.263 )
- 日時: 2011/05/08 03:29
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: vVNipMyd)
- 参照: いつも自分の事を守るだけで(by.嘘とタイムマシン
第五十六話『癒思考』
好きな人の一番じゃないなら、
好きでいる意味なんかない。
でも一番じゃないのも当たり前で、
それが、辛い。
次の日——。
「一時間目から理科かぁ〜……」
私はあくびをして、そう呟いた。
昨日はよく眠れなかったし……。
そう思いながらも、由良達の所へ行った。
「由良、優、愛奈〜。おはよ、一緒に理科室行こう」
「……うん」
この時、由良と優の様子が変だった。
だけどその時の私は気づきもせずに、のんきに過ごしていたんだ。
二人を傷つけているなんて、知らずに——……。
**
理科室に行くと、レポートを書かされた。
そのレポートの内容は、『ニュースキャスターの気分になって予想をしてみよう』というものであった。
班になって発表し合うみたいけど——……。
「……」
私は班の人に話しかけられずに、一人で固まっていた。
このクラスで自分から話しかけれる人、由良と優と愛奈しかいないからなぁ……。
そう思いながら困っていると、後ろの班から壱の声が聞こえてきた。
「えー、今日は雨が降ります。傘を持って行きましょう。傘がない人はまぁ、ドンマイです。ではさよなら〜ぁ」
壱の気の抜けた発表で、壱の周りは笑いに包まれていた。
いいなぁ、壱の班に行きたい——……。
一瞬、そう思ってしまった。
そして昨日の事を思い出し、なんだか悲しくなる。
「……はぁ」
付き合えなくても……。
壱と友達に、なりたいなぁ。
私はそう思いながら、溜息をついた。
すると、
「——とれたてのひとで」
また壱の声が聞こえてきた。
と、とれたてのひとで!?
そう思いながら壱の方を向くと、紙で出来たひとでみたいなものが……。
なんか壱、可愛い。
そう思っていると、壱が私の隣のヒロに向かってひとでを見せびらかしてきた。
「ヒロ、ひとであげる」
「……」
ヒロは黙ったまま壱のひとでを見ていた。
壱は無邪気な笑みを浮かべている。
か、可愛い……!
そう思ってると、
「ぽい」
ヒロがそう言って、ひとでを潰して床に投げた。
壱は「あぁっ」と声を上げ、ひとでを黙ってみていた。
ちょ、ぺっちゃんこなひとでが私の近くに……。
「うわ、ひとで死んだ」
壱はそう言って、ひとでを拾った。
しかし、ひとではもうぺっちゃんこで再起不能。
それが気に食わなかったのか、壱はひとでをゴミ箱に捨てに行った。
「…………」
私の目は、自然と壱を追いかける。
やっぱり、好きなんだよなぁ……私。
昨日の事が、嘘だったらいいのに。
全部、優の聞き間違いだったらいいのに——……。
そんな事を、思ってしまった。