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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 58話更新! ( No.274 )
- 日時: 2011/02/20 05:05
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: VYCQ1KaR)
- 参照: いつも自分の事を守るだけで(by.嘘とタイムマシン
第五十九話『悲痛』
ただ、涙が止まらなかった。
こんなに大泣きしたの、いつ振りだろう。
心が破けるように痛くて。
涙の止め方なんて忘れるくらい、溢れだすように涙が零れて——。
「……依麻、とりあえず玄関行こう?」
愛奈はそう言って、私の背中を優しく撫でてくれた。
そしてゆっくり、優達から距離が置けるように階段を降りた。
すると、
「——どうして依麻泣いてるの?」
誰かに腕を掴まれた。
——あぁ、この声……。
私の嫌いな声。
今は聞きたくなかった声——……。
担任の、福野だった。
「……」
言えない。
言える訳が、ない。
「……なんでもありません」
「なんでもなくないだろ!?」
言いたくない。
もう何も考えたくないのに。
私は福野の腕を思い切り振り払った。
「なんでもないってば!!!」
自分でも驚く位、大声が出た。
私は小さく呼吸を乱し、泣いて真っ赤な目で福野を睨んだ。
もう、放っておいてよ……。
私の事なんて、放っておいて。
「ならなんで泣いてるんだよ!!」
福野も私と同じ位の大声を出してきた。
そして再び腕を掴まれる。
——痛い、
腕も、心も痛い。
「……っ」
自分が悪いんだよ。
壱に嫌われて、
友達傷つけて、
わかってもらえなくて、
ただ、勝手に泣いてるだけだから。
理由なんてないから。
「……依麻、教室で話聞かせろ」
もう、ただ辛いだけだよ。
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