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- Re: *叶恋華* +実話+ 60話更新! ( No.286 )
- 日時: 2011/02/20 19:26
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: yU3pc2AF)
- 参照: 何も感じてないとでも 君は思ってるのですか?(by.嘘とタイムマシン
第六十一話『後悔』
二人の足音が、廊下に響く音を確認し、福野は私を見る。
「……恋愛ってことは、依麻好きな人いるの?」
「え、」
そ う き た か
私の涙は一気に止まり、慌てて愛奈を見た。
福野に言いたくない、どうすれば——……?
って、また友達を頼っちゃいけない。
愛奈にまで嫌われてしまう。
「別にあたしはクラスに広めるつもりはないし、本人にも言わないよ。……つか、同じクラス」
「……」
「言ってくれなきゃ話が進まないんだけど」
どうしても聞く気だな、福野。
……ええい、もうどうでもいいや!
どうにでもなれ、ちくしょう!
「同じクラス!」
「誰?」
「……愛奈の席の後ろだった人! Tさん!」
私はヤケクソになり、全てをバラした。
あぁもう、ここから消えたい。
早く帰りたい、もう……。
「……珠紀壱かぁ……。いい男に目ぇつけたね」
「……」
いい男って。
ちょ、福野サン。
壱は一応……貴方の生徒ですよ?
まぁそんなツッコミは置いといて、
「あいつ、普段ぼーっとしてるけどカッコイイと思うよ」
「は、はぁ……」
「意外にセンスいいね、あんた」
意外にってどういうことだ。
しかもそこ褒められてもあまり嬉しくない……。
「——でもねぇ、壱好きな人いるっぽい」
「!? だ、誰!?」
福野の発言に、私は身を乗り出して聞いた。
福野は「わかんないけど、あたしの予想。本当にわかんないよ?」という。
私は激しく何度も頷き、真剣な顔になった。
「……同じクラスの……。ほのかじゃないかなって思うんだけどね」
ほ の か !?
私の目の前は、一気に真っ暗になった。
いや、もう教室自体真っ暗だけどさ。
「前にほのかの事じーっとみてたから」
ずどーん。
追い打ちがかかる。
壱、ほのかの事好きなのかなぁ……。
「あ、まだわかんないよ? わかんないけど——」
「そんなの、好きに決まってるじゃん……」
私は、どうすればいいんだ。
止まっていた涙が、また溢れ出してきた。
わかんないわかんないわかんないわかんないワカンナイ。
どうすれば、君は振り向いてくれるの——?
「依麻、アピールすればいいじゃん」
「……でも私、人見知りで自分から人に話しかけられないし……。ましてや、好きな人だし……。私迷惑かけたし……全部私が悪いし……」
「壱はね、あんた以上に人見知りだから」
落ち込みモードに入ってると、福野はそう言い放った。
い、壱も人見知りなの……?
まぁなんとなく、わかるけど。
壱から人に話しかけないしね(特に女子)。
「うざいの嫌いだしね」
「なんか壱、怒りっぽくないですか?」
愛奈は福野に質問した。
怒りっぽい……、怒りっぽい?
あ、告白未遂の時キレてたよね。
「あぁ、あれ思春期」
「し、思春期……」
そんな簡単な答えなのか、福野さんよ。
「でも本当は心優しいやつだから、依麻。ちゃんと壱に謝って、全部説明しろよ」
「……」
壱に謝って、説明……かぁ……。
壱、わかってくれるかな……?
迷惑、じゃないかな?
「それでわかってくれない男だったら、そんな奴諦めた方がいい」
壱は、きっとわかってくれると思う。
ちゃんと私が説明して、ちゃんと謝れば。
『迷惑』って思われてるのは取り消せないとしても、壱はわかってくれる気がする。
本気で好きだから、信じれるんだ。
「問題は、どうやって壱に話すかだな。話したことないんでしょ?」
「まぁ……一応メアド知ってるんですけど……。返ってこないんですよ。迷惑なのかなぁ……」
「なんて送ってんの?」
「えーと……。『暇なときよかったらメールしてね』みたいな感じでアピールしてるつもりなん
「それはうざがられるわ、迷惑」
あ、今、一気に心に突き刺さった。
笑いながら思いっきりサラリと言ったよね。
やっぱこいつ、鬼だ。
人の気持ち考えてない……。
私の目から、また涙が溢れ出した。
「……っ」
「……あー、笑ったの悪かったから。泣くな!」
そ こ じ ゃ ね ぇ よ
もういい、私が馬鹿でしたよ。
一瞬だけ、本当に一瞬だけ福野に気を許した私が馬鹿だった。
「壱ねぇ、お母さんPTA役員だし。後ね、私服とかかっこいい。かっこいい服着てねぇ、いっちょ前にさーっ! お母さんがおしゃれだからね、その血を受け継いでるね」
壱の私服……。
想像すると、胸が高鳴る自分が居た。
あぁぁもう、駄目だ駄目だ!
「この前の二者懇談の時に、壱と恋バナもしたし」
「こ、恋バナ!?」
「うん。『どうやったら彼女が出来ますかねぇ、俺』とか、『女子とメアド交換なんて、夢のまた夢ですよ』とか色々」
私とメアド交換したじゃないですか、珠紀さん。
私のはそのうちに入らないと?
……あぁそう、そうですね。私が勝手に聞いたんですもんね。
そう考えると、また悲しくなった。
「もったいないなぁ、依麻〜。あんたならGET出来たかもしれないのに」
「……っ」
そんなこと言ったって、どうすればいいのさ。
後悔したって、もう遅いのに。
自分を責める事しか、出来ないのに。
「由来たちに言わないほうがよかったのに」
だって、
過去に自分なりに頑張った恋愛、全部失敗して。
だんだん控えめになっていって。
友達なんかロクに出来ずに。
ずっと一匹狼で、人見知りが激しくなって。
人間不信になって。
それでも、由良達は転校生の私に最初に話し掛けてくれて。
こんな私に優しくしてくれた。
だから、信じてたのに——。
「……私が、全部悪いから」
「……何、依麻。そんな自分責めてるの」
当たり前じゃん。
馬鹿でしょ、私。
「私が悪い、から」
「……自覚、してんだ」
自覚してるよ。
自分のことは、自分がよくわかってる。
私は救いようのない馬鹿だ。
「……じゃあ、由良と優呼んでくるわ。とりあえず仲直りしなさい」
「……え、」
仲直り、?
私はその単語に、抵抗を感じた。
仲直りしたって、また繰り返す——。
女子はそういうものだって、私は痛い位わかってる。
しかし福野は、教室から出て二人を呼びに行った。