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Re: *叶恋華* +実話+ 60話更新! ( No.296 )
日時: 2011/03/05 02:09
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: TV0MM72m)
参照: 3月……かw 更新約3か月分残ってる←

第六十二話『despair-絶望-』


しばらくして、由良と優が教室に入ってきた。
二人は私の顔を見た後、また離れた席に座る。


「……依麻から話は聞いた」


福野はそう言って、二人に話をし始めた。
私は空っぽの頭で聞いていた為、その話していた内容なんか頭に入っていなかったけど——。


「——じゃあ依麻、言いたいことがあるんでしょ?」
「……え」


うわの空でいた時、突然福野に話を振られた。
言いたいことなんか……ない。
なんで話を振るんだ、福野さん。


「……えーと、」


多分、福野が言いたいのは『謝れ』って事だと思う。
なんで私が謝らなきゃいけないの。


私が本当に謝りたいのは——。
二人じゃないのに。


正直、心の片隅でそう思っていた。


「……ごめん」


私は小さな声で、それだけ呟いた。
その言葉で辺りは一気に静まり、沈黙が走る。
すると福野が「これからも仲良くしてくださいって言いな」と私に向かって言い始めた。


これからも仲良くしてください……?
これから、どうやって私は二人と仲良くすればいいと思ってるわけ?
どんな顔して、二人に接すればいいわけ?


それに、私が謝ったって。


「……言い方きつかったけどさ。依麻、アピールしたほうがいいよ」
「由良だって頑張ってんだからさぁ」


ほら、結局は許してくれないじゃない。
私の『ごめん』はなんなの?
皆、結局わからない。
他人のことなんか、知らない。


皆、私の気持ちなんかわかってくれない。


**


その後、話し合いは終わり——。
外はもう真っ暗で、雪が降っていた。
私と愛奈と由良と優は、見事に二組に別れ——。
由良と優は笑みを浮かべて、楽しそうに二人で話していた。


なんか疲れた。
もう、どうでもいい。
私は三人と離れ、暗い雪の道を一人で歩いた。


「……っ」


一歩一歩足を進める度、涙が溢れてくる。
拭っても拭っても、止まることなんかなくて。
なんで自分でも泣いてるのかわからないくらい、頭の中は真っ白だった。
胸は相変わらず締め付けられたままで、苦しいけれど。


こんな時、人通りが少なくてよかった。
こんな時、夜でよかった。
こんな時——……。


一人でもいいから、味方が欲しかった。





家につき、私は大泣きした。
お母さんは心配して、優しい言葉をかけてくれた。
私は真っ赤になった目をこすり、


「学校なんか、しばらく行かない」


お母さんに向かって、そう呟いた。


「……依麻がそれでいいなら、別にいいよ」


お母さんはそう言った。
私は力なく頷き、自分の部屋に向かう。


壱に会う資格なんか、ない。
フラれてももっと嫌われても、もういい。
謝らなきゃ。
壱に迷惑をかける訳には、いかない。


もがいても泣いても、問い詰めても自分を責めても。
叶わないなら、せめて謝らせて。


せめて綺麗に失恋、させてよ。





私は携帯を握りしめ、震える心を抑えた。