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Re: *叶恋華* +実話+ 66話更新! ( No.309 )
日時: 2011/03/06 19:28
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: QNd6qtAW)
参照: 愛されたい 愛してみたい 私はどちらを望んだ?(by.モノクロアクト

第六十七話『悪口friend』


学校が、つまらない。
そう強く思える、今日この頃。




優と由良と愛奈は、休み時間の度に教室から出て行った。
きっと、まなと私の愚痴言ってるんだろうね。
そんな三人が廊下に出てるその間、私はひたすら顔を伏せてるかボーッとする事しか出来なかった。


「——じゃあ、席につけー」


先生の声が響くと共に、チャイムが鳴った。
次の授業は理科……、移動教室じゃないし、暇だ。
私はそう思いながら、また顔を伏せた。


**


授業の後半——。
あと少しで授業が終わる……。
そう思っていると、何やら壱の方から視線を感じた。
いや、多分壱じゃなくて優だと思うけど。
壱の隣は優だし……、ちょうど私を睨める位置にいるしね。


私は一応、恐る恐るチラ見してみた。


「!」


すると、壱がこっちの方を見ていた。
……うん、気のせいだこれは。
偶然だ、偶然。
そう自分に言い聞かせ、見なかったことにして前を向いた。
その時、


「——何見つめてんのよ」


後ろの席の龍が呟いた。


「……は、ワークみてたんだし」


その龍の言葉に、壱は笑い交じりにそう返した。
なるほど、壱がワークを見ているのを勘違いしたと。
私も、龍も。


……馬鹿みたい。
私は溜息をついて、また再び顔を伏せた。


頭の中は、もうなんかごちゃごちゃしていた。
なんていうんだろう……。なんか、モヤモヤする。
とりあえず、もう一回考えを整理しよう。


優と由良と喧嘩して。
一人になって、悪口言われて……。
壱に嫌われて。
私は壱を諦めようとしてる最中で……。


——なんでだろう。
『壱を諦める』その単語が、心に引っかかる。
モヤモヤ、する。


「……っ」


ええい、とりあえず壱の事は考えるのやめっ!
まずは由良達だ。
明日からどうしようかな。
一人に耐えられる精神力を作らなきゃ、まずいよね。
そうじゃなきゃ、毎日を過ごせない。
そんな事を考えてると、


「——何見てんのよ〜っ」
「ちげぇよ」


龍と壱が、またそんなやりとりをしていた。
……あぁぁ、もう!!
誰か私に、耳栓を下さい。
龍がそんな勘違いしてたら、私だって勘違いしちゃうよ。


嫌われてても、少しだけ期待しちゃうんです。
こんな自分が、嫌なんです。



*放課後*


やっとやってきました……放課後。
長かった、非っ常に長かった!!
これにて水城依麻、すぐさま学校から退散します。


いつもなら、由良と笑いながら一緒に帰ってたっけ……。
なんか随分前の出来事みたく感じる。


「……いかんいかん」


喧嘩中なんです、私たちは。
自分にそう言い聞かせ、玄関へと向かった。
そして自分の外靴を取り出す。


「……」


外靴を持って、振り返った時。
優とまなと、バッチリ目が合った。
二人の顔は、一瞬にして険しくなる。
……帰りに、嫌な光景を見た。
そう思いながら、私は目を逸らして靴を履く。
そして立ち上がり、歩き出した。


すると優とまなも歩きだし、優が私の近くに来た。
そして、


「きめぇ」


私とすれ違いざまに、耳元でそう呟いた。
——そうきましたか。
私は立ち止まり、振り向いた。
そして、優とまなの後姿を睨んだ。


そんなにきもいきもい言わなくても、私はもう自分で自覚してます。
だから、大丈夫。
悪口なんかに、負けない。


一人でも——……、負けない。





私はそう心に誓い、学校を後にした。