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Re: *叶恋華* +実話+ 69話更新! ( No.316 )
日時: 2011/03/07 19:14
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5ZyVc2k3)
参照: 愛されたい 愛してみたい 私はどちらを望んだ?(by.モノクロアクト

第七十話『ごめんねfriend』


手紙をもらった次の時間、由良が私の所に来た。


「……依麻、移動教室、一緒にいこう?」
「……う、ん」


私は少し、戸惑いがちに頷いた。
色んな思いが頭の中に浮かび、胸がもやもやする。


「……依麻……。うちら、怒ってないから。話し掛けてきても、いいから」
「……」


由良も、少し戸惑いがちに呟く。
私はそれに対し、上手く返事が出来ずにいた。
だから、無言で頷く事しか出来ない。


「——……行こ?」


由良が小さな声で呟き、私は少し距離を開けて由良の後についていった。
お互い、一言も会話を交わさないまま。


「……」


もやもやもやもや。
その間も、胸がもやもやしていた。
あぁもう、私はどうしたいんだろう。


傷つけたくない。
傷つきたくない。
失いたくない。
失わないように、したい。


ぐるぐるぐるぐる。
同じ言葉が頭の中に巡り、どうにかなってしまいそうだった。


**


昼休み——。
私は自分の席で、窓の方を見ながらボーッとしていた。
だんだん、暇なのも慣れてきた気がする。
そんな事を思っていると、


「——依麻、」


由良と愛奈が、私の席の前に立った。
二人の顔は、真剣な顔。
私はとりあえず立ち上がり、二人を見た。


「……何?」
「ちょっと来て」
「!?」


由良に凄い勢いで引っ張られ、教室の窓側の方に連れて行かれた。
……これは、二度目の呼び出しかい?
何が怒ってない、だよ。


そう思った瞬間、


「依麻……! ……っ、」


由良が私にしがみつくように、泣き崩れた。




「……え」


想 定 外
予想外、奇想天外。
え、こ、この状況は……?


「どうしたの?」
「え、由良なんで泣いてるの?」


教室に居た女子が、一斉に寄って来る。
そして、一斉に私の方を見た。
——え、なんか私が泣かしたみたいじゃん。
……え、これ、私が泣かしちゃっ……た?
顔に出てた? 呼び出しかと思って嫌そうにしたのが顔に出てた?
参ったな、私顔に出るから……。


とにかく、どうしよう。


「……っ、ごめん……っ! ごめん、依麻……」
「え、おぉう?」


由良が号泣してそう謝る。
それに対し、私はなんて間抜けな声を出すんだ。
シリアスな場面、ぶち壊しだな……私。



「うちら……っ、優に紛れて悪口言っちゃったけど……ずっと謝りたくて、本当はうざいとか思ってないから……。依麻と仲直りしたい……っ」


由良は涙を拭いながら、一つ一つちゃんと伝えてくれた。
そんな感動すること言われると、こっちまで泣きたくなるよ……。
横に居る愛奈の方を見ると、愛奈も少し涙目だった。


「本当にごめんね……、依麻……!」


由良はそう言って、声を上げて泣いた。
一気に、周りの視線が私に集まる。
じ、人口密度が……!


「え、っとぉ……」


しどろもどろになる私。
あぁ、情けない!


「——私も……、いや、私が悪かったし……。私こそ、ごめん……ね」


そう、全ての元凶は私だから。
私が壱を好きだから。
由良達にも、壱にも迷惑をかけたからこうなってしまったんだ。


そう思って俯くと、周りの人々が私と由良の手を掴み始めた。


「うぉっ」
「じゃあこれで、仲直りだね! 握手握手」


香音が笑顔でそう言い、私と由良は周りに押されながら握手をした。
——由良の手、暖かい。
なんか、人の温もり……って感じがする。
……何言ってんだ、私。


「仲直り、おめでとう!」
「よかったね〜!!」


次第に、辺りには拍手と歓声が湧き上がっていた。
よくよく見れば、教室に居た半分以上の人が私たちの周りにいる。
お、おおう……。


「——じゃあ、仲直りも完了したし、チャイムも鳴るから座るか!」
「座ろ座ろ」


皆はそう言って、それぞれ自分の席に戻っていく。
私も自分の席に戻り、なんだか状況が掴めないまま次の授業の準備をした。