コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 69話更新! ( No.319 )
- 日時: 2011/03/07 21:29
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5ZyVc2k3)
- 参照: 愛されたい 愛してみたい 私はどちらを望んだ?(by.モノクロアクト
第七十一話『ぐちゃぐちゃHeart』
……それにしても。
光葉中の仲直り方式は、凄い。
凄すぎる、うん。
冷めてる刹那中学校とは違って、なんか……。
もう、言葉に表せられないぐらい凄い。
「——じゃあ授業始めるぞー!」
五時間目の授業は、国語。
つまり福野の授業……なんだけど、
「……あれ、里田由良と高見は?」
「あれ? さっきまで居たのに……」
さっきまで居た由良と愛奈が、消えていた。
な、あれ?
彼女たちはテレポートしたようです。
「……あいつら、サボりか……」
福野はそう呟いて、小さく舌打ちをした。
由良はクラスの中で一番の問題児——、志保ちゃんの次ぐらいの問題児だけどだけど、体育以外の授業をサボる事はない。
愛奈はどの教科もサボったことなんてないし……。
そんな二人が一緒にサボリなんて言ったら——。
珍し、すぎる。
「せんせー、愛奈たち探しに行く?」
「いや、探すだけ無駄だわ。授業進める」
ちょ、福野さん。
福野は由良と愛奈の事は気にせず、プリントを配り始めた。
……というか、あの二人が居ないんだったら、更に優の機嫌悪くなるよね。
しかも、由良は私に謝ってきたし。
そう思いながらも、私は優の方を恐る恐る見てみた。
優の方を見ると、腕を組んでイライラしている。
……あぁ、やっぱ怒ってますね。
まぁいいさ、もうどうでもいいさ。
そう思い、優から視線を外した時、壱が視界に入った。
「!」
壱は、顔をこっちに向けて伸びていた。
私は慌てて前を向き、プリントを見て気持ちを紛らわせる。
一秒くらいしか見れなかったけど、やっぱかっこいい……。
って、駄目だ依麻。
由良達の方は、なんとか一応落ち着いたような感じだけど——……。
壱の事は、なに一つ解決してない。
迷惑かけて、
謝って、
許してもらって、
私が勝手に自己満足してるだけ。
そして、勝手に諦めようとしてるだけ。
そう、何もかも勝手だ。
謝っても、壱に迷惑をかけたのは事実。
私が壱の事を勝手に好きになったのも、事実。
諦めるのは、私の勝手。
だけど——。
どうして、こんなに胸が痛い?
壱を見ると、どうして鼓動が高鳴る?
諦めようとすればするほど、辛くなっていってる?
「……っ」
駄目だ、駄目だ!!
駄目なのに——……。
私、自分勝手すぎる。
壱に迷惑、かけちゃうのに。
諦めなきゃいけないのに——。
壱を好きでいたい、自分が居る。
「——じゃあ、班体形になってプリント丸付けしてー」
色々考えてるうちに、いつの間にかプリント丸つけの時間になっていたみたいだ。
やば、全くやってなかった……。
そう思いながら慌てて班体形にすると、隣の班——。
つまり、壱の班が視界に入った。
すると、皆固まってるのに壱だけ一人ボーッとしていた。
私は思わず、壱の方を見てしまう。
「!」
すると、壱と目が合った。
やっぱり、胸が高鳴るのは嘘じゃない……。
あーっ! もう、馬鹿依麻!!
森野達が私をそう呼びたくなる理由が、今わかったよ畜生!!
この意気地なし。
弱虫。
馬鹿。大馬鹿野郎!
……もう、やだ。
私は握っていたシャーペンを強く握りしめ、プリントのスペースを塗りつぶした。
自分の気持ちを、塗りつぶすように。
ただひたすら、真っ黒になるまで塗りつぶしていた。