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- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.33 )
- 日時: 2011/01/26 21:26
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: jSS95WES)
- 参照: まーぐなーむ(・3・)
第四話『かっこいい人』
想えば、この時から——。
すべてが、始まっていたのかもしれない。
学校にまだ慣れないまま、数週間が経った。
一つ変わったことは、友達ができたこと。
由良と優と愛奈だ。
由良達は手紙をくれたりして、私と仲良くしてくれた。
三人のお陰で、なんとか少しずつ。
少しずつだけど、人の名前くらいは覚えられるようになった。
でも、やっぱりたまに思い出す。
刹那の皆、どうしてるかな……?
会いたいよ。
失ってから、こんなに悲しくなるなんて。
皆、今頃何してるんだろう。
そう思ってしまう。
刹那でだって、嫌なことはたくさんあった。
だけど私、なんだかんだいって刹那が好きだったんだ。
今更気づくなんて。
遅すぎる、よね。
立ち止まり空を見上げると、ぽつりと君の顔が思い浮かんだ。
君と出会った日も、こんな綺麗な青空だったよね。
君の声——。
最後の『ごめんね』が頭の中で木霊した。
でももう、君を想像しても最初よりドキドキしなくなったのは——。
君と本当に、お別れしたからだね。
——って、振り返ってどうする!!
私は小さく頬を叩いた。
新しい青春を見つけてやるよ。
絶対に。
そして、笑顔で刹那の皆に会いに行く。
そう、決めたから——。
**
「好きな人できた?」
「へ?」
教室でボーッとしていると、由良が話しかけてきた。
好きな人……かぁ……。
うーん……残念ながら、
「まだかなぁ?」
「じゃあさ、クラスの中でかっこいい人は?」
「え〜?」
まだ全員の顔と名前覚えてないのに、わからないよ!
かっこいいと思う人……うーん。
「誰だろう?」
「じゃあ叶汰とかは!?」
「「え?」」
由良が明るい声を出すと同時に、近くにいた坂上叶汰という男子と声がハモった。
叶汰は私たちの会話に気づき、笑みを浮かべて近づいてきた。
「なになに、なんの話?」
「どう、依麻ちゃん! 叶汰はかっこいいと思う?」
「うっ……」
思わず顔が赤くなる。
叶汰は、世間から見たららかっこいい方だろう。
見た感じ明るいし、いつも笑顔だし——。
でも、本人の前でなんて答えればっ……!
「……おい、由良。転校生が困る質問すんなよ!」
「うっさいね、叶汰は」
「うるさいのはお前だ!」
思考回路がショート寸前の私を置いて、揉め出す二人。
次第に二人は追いかけっこみたいな形になり、私はその場に取り残された。
「……」
かっこいい人……か。
私は頬杖を突き、由良と叶汰のやり取りを眺めていた。
その時は、深く考えなかった。
そう、深く考えなかったんだ——。