コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 71話更新! ( No.333 )
- 日時: 2011/03/15 20:20
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: lITb0hIn)
- 参照: 好きを消せたら 楽になれるかな(by.Calc.
第七十四話『トモダチ』
自分を犠牲にしてでも、
私と一緒に、居てくれるの?
信じて、いいの?
『……依麻と、居る』
「——え?」
由良の涙声で呟かれた言葉に、私は思わず声を上げてしまった。
「本当にそれでいいの? あんたら、ネチっこい事するくせにされるのは嫌なんでしょ。依麻といたら、なんかされるよ?」
「それでも……。優は、依麻を一人にさせて散々悪口言って……。もう、優の言いなりになりたくない……っ」
由良はそう言って、声を出して泣いた。
それを見た愛奈は、恐る恐る口を開く。
「……優のやり方は、汚いんですよね。周りを固めて、一人を追い詰める……っていうか」
「それが女子っつーもんだよ、愛奈」
福野の意見に、大賛成だ。
周りを固めて、集団でたった一人の人間を追い詰める。
それが、汚い女子のやり方。
皆が皆、そうって訳じゃないけど。
「いっつもそうなんだよ、優は……。何か気に入らなかったら、呼び出して。呼び出しとか、本当意味わかんないし……。とにかく、もうついていけない。優には」
由良は泣きじゃくりながら、そう言った。
福野は黙って、由良の顔を見つめている。
「私達、もうそういう汚い事したくないんです。優の言いなりになって、大切な友達を失くしたくない」
「うん。……優一人を責める訳には、行かないけどね」
由良の言葉に、愛奈も続いた。
二人の言葉には、驚きの連続だ。
だって私なんて、まだ引っ越してきて数か月しか経ってない。
優との方が、友達歴は長いはずだ。
なのに——……。
「私、もう優とは絶交する覚悟でいます。それで、普通に友達と過ごしたい……」
「……それなら、その決めた覚悟曲げんな。依麻に酷い事したんだと思うなら、今度は失敗しないようにやりな」
なんか福野さん、かっこいい。
さすが、なりきりヤン○ミ。
由良は目を擦りながら、福野の言葉を聞いていた。
「——これからは、誰も一人にしない。依麻が一人になっても、愛奈が一人になっても……私が、一人になっても。絶対大切な友達と一緒にいる」
由良はそう言って、赤くなった目を少し細めて笑った。
その笑顔を見た福野は少し笑みを浮かべ、その場に立った。
「じゃあ、この話はもう終了ね? いつまでも引きずってたら駄目だからね。かと言って、あんたら三人が仲良くなったからと言って優の悪口言ったりする……なんて汚い事するんじゃねぇぞ?」
「わかりました」
私たちは返事をし、席を立った。
窓から見える外の景色は、少しだけ赤く染まっている。
こんなに外が綺麗に見えたの、久しぶりな気がした。
「……じゃあ、もう下校しな! 玄関閉まるよ」
「はーい」
「さよならー」
「ありがとうございました〜」
愛奈、由良、私が順番に言葉を発して教室を出た。
なんだか、足取りがいつもより軽い気がする。
いや、いつもより軽かった。