コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 80話更新! ( No.356 )
- 日時: 2011/03/26 20:07
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: g7gck1Ss)
- 参照: もっと強くなりたい、
第八十一話『片想いlover』
次の日の五時間目——。
技術の時間。
この日は技術室で、ミニラジオを作る為に集まっていた。
「じゃあ、ミニラジオの箱を取りに行く人と、材料を取りに行く人で分かれろよ〜」
技術の教科担任——……津田先生が特徴のある声で言った。
津田先生は、面白くてノリがいい。
この中学校の中で、数少ない私の好きな先生の一人だ。
私は作業が遅いので、いつも最後まで残っていた。
一人ぼっちになった教室の中で、津田先生は「水城はマイペースすぎる」だの「のんきだな」だの言いながらも、私が終わるまでついていてくれる。
光葉中の中で、数少ない優しい先生。
ホント、感謝してます。
「——依麻、箱取りお願い」
「あ、うん」
同じ班の百恵ちゃんに言われ、私は席を立った。
ちなみに私の班は、百恵ちゃんと原田くん、中条と私の四人。
出席番号順なんだけどね、ここの席が空いていたので転校生の私は入れてもらう形になった訳だけど——。
いまいち慣れない、この席。
そして、壱は斜め前の横の班……。
近いようで遠いです。
同じ班の愛奈と犬ちゃん、いいなぁ……。
そう思いながら、箱を取りに部屋の奥まで向かった。
箱が置いてある棚の中の前に居るのは、不良の島田時実と松田聖だ。
そして私の横に居るもう一人の男子は——……。
「!」
壱だった。
一瞬だけ壱の横顔が視界に入り、慌てて俯いた。
そんな私はさておき、壱はというとだるそうに棚の方を見つめている。
壱も箱取りだったんだ……!
なんだか少しだけ、嬉しくなった。
すると、
「あーっ!」
「あーっ!?」
時実と聖が、私と壱の方を見て叫びだした。
な、なんじゃこの人達。
そう思いながら二人を見ると、二人は気味の悪い笑みを浮かべている。
なんか怖っ!!
そう思ってると、横に居た壱が二人に向かって呟いた。
「……ぁ? なに?」
「あははーは」
不良二人組は、変な笑い声を上げる。
どうしたんだ、この人達は。
そう疑問に思っていると、時実が口を開いた。
「デキてるんでしょ?」
……は?
デキてるって、ちょ。
え、私と壱が? えぇぇぇぇ!?
何も出来てねぇよ、付き合ってもいないし……。
あっち系の意味だとしても、私たちまだ十四歳だぞ!?
「ゃ、……っ、……チッ」
壱 舌 打 ち
怖っ!! 壱、怖い!!
絶対これキレたよね、あぁぁぁぁ!!
私の片想いですよ、勘違いしないでください!!!!
私は心の中で、時実と聖に向かって叫んだ。
そして箱を慌てて持ち、逃げるように席に戻った。