コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.36 )
- 日時: 2011/01/27 13:35
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 7TIkZQxU)
- 参照: まーぐなーむ(・3・)プップー
第五話『心の変化』
数日後——。
その日、私は由良と一緒に教室の黒板に落書きをしていた。
「ちょ、依麻! 何その顔〜」
「変な顔を書いてみた」
「これ叶汰そっくりでしょ」
私が書いた変な顔に、由良が横から『きょーた』と付け足した。
私は思わず吹き出してしまう。
「こっちも叶汰にするか」
「ぶはっ、ちょ、由良ぁ〜」
「——おい、誰だよ俺の顔書いたの」
笑っていると、後ろから男子の声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声に振り向くと……わーお、叶汰本人登場〜。
「わたっぺぇ、なんか二人して虐めてくるんだけどぉ」
「ははっ、うける」
叶汰の隣に居たわたっぺも笑い出した。
すると、近くにいた男子たちも笑い出し始めた。
「転校生、意外にこういう感じの人なんだね」
「俺、もっと大人しい子かと思ってた!」
「俺も〜」
「刹那の人は大体皆こうなんだ!」
男子たちが次々と言い、わたっぺが最後に得意気に言い放った。
ごめんね、期待外れで。
どうせうるさいですよ、私。
ふんだふんだ。
……まぁ、いいか。
私は少し不満気になりながらも深く考えず、また黒板に落書きし続けた。
**
時間が経ち、家庭科室に行く前。
何やら皆群がっていた。
由良は私を引っ張って近づき、叶汰に尋ねた。
「何読んでるの?」
「ん」
叶汰が差し出したのは、小説だった。
ふと小説から視線を外すと叶汰と目が合い、思わず目を逸らしてしまった。
……なんだろう。
なんで私は、目を逸らしちゃったんだろう。
「お前ら早く家庭科室行け!!」
「やっば、行こ依麻!!」
「う、うん……」
福野が叫びだし、私たちは慌てて家庭科室へ行った。
心の中の疑問は、相変わらず残ったままで——。
**
家庭科が終わり、掃除。
掃除にあたっていた私は、ほうきを振り回しながら歩いていた。
「俺、やってないよ」
「叶汰じゃんやったの!!」
叶汰と由良の声が聞こえ、私は振り向いた。
見れば、叶汰と由良は何やらいい争っていた。
私は二人に近づき、恐る恐る由良を見る。
「……由良、どうしたの?」
「あのね、叶汰がこの椅子のネジ壊したの!」
「だから俺じゃないってば」
椅子のネジ?
私は目を丸くして椅子を見た。
あらら、本当にネジがなくなってる。
「俺、本当にやってないよ」
その時、突然叶汰に話しかけられた。
私はびっくりしながらも頷いて必死に言葉を探した。
え、えーと、
「じゅ、寿命、じゃない? 寿命」
何いってる自分。
必死に思い浮かべた言葉が寿命なんて。
そう思いながら心の中で後悔していると、
「……そうだ、寿命だ、寿命!」
叶汰は笑顔でそう言ってくれた。
それがなんだか、嬉しくて。
私も笑顔になった。
この時、私の中では——。
少しずつ、心の変化がおきていたんだね。