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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.37 )
日時: 2011/01/27 14:29
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 7TIkZQxU)
参照: まーぐなーむ(・3・)プップー

第六話『気になる?』


心の変化に気が付かず。
私は日々、平穏な日常を過ごしていた。
いつの間にか世間は九月で、私が転入してきて一か月が経とうとしていた。


そんなある日、


「依麻、楽器何が好き?」


由良に突然言われた。
楽器……?
私は驚きながらも、考える。


「うーん……ギター……とか?」
「あのね、実はあるグループでバンド組もうと思って! だから依麻、ギターね」


バンド!?
え、でもギター出来ない……。
というか、楽器全般からっきしなんですが。


「私、楽器やる才能ないよ」
「大丈夫! 叶汰ギターやってるからさ、教えてもらいな!」
「!?」


——何、この感情。
今、ドキッとした。
なんだろう、おかしいな——?


「そのバンドにさぁ、わたっぺと叶汰も一緒に誘おうかなって。あ、ちなみに優がボーカルで、私がキーボード。愛奈がリコーダね」
「ちょ、リコーダって」


私は小さく吹き出した。
しかし、まだ胸のドキドキは続いていた。
なんだろう、これは。


疑問がどんどん積み重なりながら、時間は刻々と過ぎて行った。


**


五時間目は、学校祭作業だった。
私は学年貼り絵の為、同じメンバーの由良に尋ねた。


「貼り絵のメンバーって誰?」
「んー……と……。叶汰に聞いて」
「ん? 呼んだ?」


振り向くと、坂上叶汰が居て目があった。
……おい、私。
ドキッってなんだ、ドキッて。
ただ、坂上叶汰と目があっただけじゃないか。
なのに、なんで——。


もしかして、私——。
だんだん答えが見えてきた心に、私は気づかないふりをしていた。


**


「依麻、ごめん! 今日、卓球部見てくから一緒に帰れない」


放課後、由良が頭を下げてきた。
私はバックを廊下に置き、由良を見る。


「それなら仕方ないねぇ……」
「でもさ、依麻を一人にするのは可哀想」
「いやいやいや」


私は横に手を振った。
すると話を聞いていた優が、由良の肩を掴んで笑みを浮かべた。


「依麻、叶汰と帰れば?」
「ぶっっっっ!?」


思わず目を見開いて奇声を発してしまった。
ちょ、ま、え!?


「うん、そうしよう。決まり」
「ぶっ、ちょ、ま」


どうしてそうなった!?
私は二人に引っ張られ、無理矢理三階へ連れて行かれた。




「……」


三階につくと、陸上部が縄跳びをしていた。
その中には、もちろん叶汰が——。


「きょーたぁぁぁぁ!」
「ん?」


由良が叶汰を呼び、叶汰は縄跳びをやめて近づいて来た。
な、なんか顔が見れない。


「依麻と一緒に帰ってあげてください! お願いします!!」


ちょ、由良土下座ぁぁぁぁぁ!
それと心臓はんぱないよ、私。
もう顔上げれない、叶汰が見れない。


「——ぱしーん」
「っ!? 叶汰ぁぁぁ!」


叶汰が由来に縄跳びを当てて、去っていった。
へ、返事がぱしーん……?
なんか、気が抜けた。
私はその場に座り込んだ。


「……戻るか」
「え、いいの?」
「叶汰部活だもん。仕方ない、依麻ごめんね」
「い、いや全然大丈夫!」


そう、一緒に帰れなくていいはずなのに。
なんでだろう、少し悲しい。


「代わりに叶汰に依麻のメアド、教えといてあげるから」
「え」
「嘘だって、そんな顔しないでよー!」
「あの人、携帯持ってるの?」
「うん。バリバリ持ってるよ〜」


このドキドキは、恋?
ううん、なんか怜緒の時と違う。
なんなの、これ。


でも、坂上叶汰のメアドが知りたいって思ったのは確かだ。


「……じゃ、じゃあ帰るね!」
「うん、またねーっ! あ、これ手紙書いたから!」
「ん、ありがとう! じゃあね〜」


私は、坂上叶汰が気になってるんだ。
好きじゃない、気になってるだけ。
ただ他の男子より、気になるだけ。


「……」


由良たちに、言おうか。
叶汰が気になってるって。
由来に手紙もらったし。
由良の手紙にはきっと、叶汰のことが書いてあるだろう。
……よし!


私は学校から出て少ししたところで立ち止まり、もらった手紙を開いた。