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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 83話更新! ( No.372 )
- 日時: 2011/03/29 02:45
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: Q3zV8Sch)
- 参照: 自分磨き頑張る。あの子に負けない。
第八十五話『嫌々思考』
その次の時間——。
私は、疾風と健吾に筆箱のキーホルダーを取られまくっていた。
「はよ返せや」
「じゃあ、好きな人プロフに書けって」
「やだ」
それは断固拒否します。
私は首を横に振り、とにかく否定した。
しかし、
「壱でしょ、壱」
「……っ」
『壱』。
その名前を聞くだけで、私の思考回路は狂いそうになる。
頭が弾けそうになるくらいの衝撃。
恋ってもんは、恐ろしい。
「ぽい」
「……あ」
「…………え?」
私が怯んだ隙に、キーホルダーが壱のほうへ——。
し ま っ た !!
「……え、あ、ぇ」
壱はキーホルダーをキャッチしたまま、混乱していた。
それに続け、健吾は『はげタラコ』と命名した私のキーホルダーを壱の方へ投げる。
壱は固まったままで、ハゲたらこはあっけなく落下した。
「壱とれ!」
「え、」
「壱、早く!! ……っあーあ」
壱が混乱している間に、私は落下したハゲたらこを取った。
それと同時に、壱は持っていた私のキーホルダー返してくれる。
——『ありがとう』。
この言葉を素直に言えたら、いいのに。
「……っ」
「壱〜」
「え、ご、ごめん」
「おいおーい」
壱の手からキーホルダーを受け取り、私は何も言えないまま俯いた。
その間に、壱は健吾と疾風からブーイングを受けている。
だけどそんなの耳に入らないまま——。
私の中の自己嫌悪が、少しずつ膨らんでいった。
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