コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 87話更新! ( No.376 )
- 日時: 2011/03/29 23:38
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: ezxnwr3m)
- 参照: 自分磨き頑張る。あの子に負けない。
第八十八話『筆談Talk』
「龍〜、昨日メールくれたべ」
退屈な授業中。
いつものように、私の好きな声が聞こえてきました。
「あぁ〜、うん」
「メール、ブチってごめん」
「あぁ。じゃあ今日も送って。昨日の壱のやつ、保存しといたから」
「……おう」
いいないいな、壱とメール出来るなんてさ。
龍が羨ましい、くそっ。
私も壱とメールしたい……けど、それは出来ないんだよねぇ。
送っても無視されるしさ、うん。
そう思ってると、壱が龍に向かって何か小声で呟いた。
「……あ?」
「いや、——……」
「なに?」
「や、だから〜……っ、」
「壱、声小さくて聞こえねぇよ」
龍は笑いながらそう言った。
確かに、小さすぎて何言ってるか聞こえない。
私の所で聞こえないんだったら、当然龍までにも聞こえないだろう。
「……や、あの、ちょっと、」
「——……わかった、じゃあ紙に書いて」
「うん」
ここでは言えないような事なのだろうか。
……となると、
恋 バ ナ ?
考え過ぎかもしれないけど、そうなのかもしれない。
もしかしたら、ほのかの事で——……?
いや、まだほのかが好きだと確実に分かった訳じゃない。
でも——……。
「……」
さりげなく、チラ見をしてみた。
見れば、壱は紙に何かを書いている。
そしてそれを龍に渡し、龍も何かを書き始めた。
筆談やり取り……って訳か。
内容が気になるぜ。
「——つか、壱の髪長い」
「あ?」
筆談やり取りの最中、龍が突然話を切り出した。
壱はきょとんとした顔をし、龍を見る。
……確かに、壱の髪はクラスの男子の中でも長い方だ。
クラスの男子が坊主ばかりのせいかも知れないけど。
でも、その髪をワックスで軽くふわふわ立たせてるのが、壱のかっこいい所だと思うんだけどなぁ……。
クラスの不良……吉澤とかみたいに、バリバリワックスをつけてる訳じゃなくて、軽くっていうのが。
「切れよ、早く」
「俺、ロンガーだから」
「はぁ?」
ロ、ロンガー……。
思わず笑いそうになった。
龍も笑ってるし。
「……じゃあ、龍みたくハゲにしようかな」
「あぁん?」
壱のこの一言で、更に吹き出しそうになった。
龍はハゲてはいないけど、坊主だ。
壱が坊主……、想像出来ない。
そう思っていると、
「珠紀ぃ、お前頭に何つけてんだよ」
「え、」
髪の話をしていたせいか、先生が壱と龍の所に来た。
そうだ、今は数学の時間。
数学はTTだから、先生が二人いる。
どうやら、片方の見回ってる先生に見つかってしまったみたいだ。
「なんか油みたいだぞ、ワックスつけてんのか」
「や、油じゃないし」
先生は壱の頭を触りながら言った。
壱は軽く抵抗する。
しかし先生の動きは、どんどんエスカレートしていった。
「ワックスだべこれー」
「や、もうつけません」
「なにをだよー」
「ゃ、ちょ、やめ」
壱は笑いながら、必死に抵抗した。
何故か先生が楽しんでるように見えるのは、気のせい?
まぁ、この学校はワックスが見つかったからって呼び出されたりすることはない。
……そう、おかしな事にこの学校は——。
先生に気に入られてるイケメン&可愛い生徒だけ見逃してもらえれるのだ。
この学校の女教師(特に福野)はイケメン好きで、イケメンが何かをしても重大な事ではない以外は、大抵見逃されるのだ。
保健室でもイケメンは熱がなくても早退出来るし……。
まぁそういう差別が激しい教師例は、福野だよね。
イケメン&可愛い生徒には甘い、問題児&容姿があまりよろしくない生徒には厳しいってやつ?
イケメンの壱や福野のお気に入り№1の不良、零がワックスをつけてきても何も言わない。
そして、可愛いけれど問題児で、多分福野の嫌いな生徒№1の由良がワックスつけてきた時、放送で呼び出して無理矢理洗い流したっけ。
あと口調の差別が凄すぎる、うん。
なんか語っちゃったけど——。
とにかく、今回も壱は見逃してもらえたみたいで。
先生が去った後、崩された髪の毛を直していた。