コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 87話更新! ( No.377 )
- 日時: 2011/03/30 00:20
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: ezxnwr3m)
- 参照: 自分磨き頑張る。あの子に負けない。
第八十九話『一方通行』
「じゃあ小テストするからなー。十分間勉強タイム取るぞ」
先生の声が響き、教科書やノートを開く音が大きくなった。
只今、英語の授業です。
英語の小テスト……うほ。
とりあえず最善を尽くす為に、一応私も教科書を見ておこう。
暗記力が欲しいぜ、くそー。
「——依麻、これ由良から手紙ー」
「え? あ、はーい」
優に呼ばれたので、私は振り返った。
その時、壱がバッチリ視界に入る。
優の隣は壱だもんね、そりゃそうか。
優を見る=壱を見る……みたいになっちゃうけど、仕方ない。
そう思いながら手紙を受け取ろうとしたとき、
「!?」
壱と目が合いかけた。
しかし壱は髪を触りながら、さりげなく私とは反対の方向を向いて逸らす。
さ、避けられた……!?
これはさりげなく避けるパターンですかい!?
「——依麻、早く取って」
「…………えっ、あ! ご、ごめん優!!」
思わず、思考回路が停止しちゃったよ。
慌てて手を伸ばし、優から手紙を受け取った。
「——では、テストを始めるぞー」
あっという間に十分経ったみたいで、教科書などをしまう音が教室中に響いた。
おぉぉ……、見事に何も覚えられなかったぞ……。
大体さ、十分何か短すぎるよ。
……暗記力が、欲しい。
「じゃあ隣と机離せー。離したところからテスト用紙配るぞ」
私は通路側ギリギリまで机を離した。
壱も隣の優と離れる為、こっち側に机を離す。
そのせいか、壱と私の距離が近かった。
「……っ」
やばい、ドキドキする。
テスト用紙を見て紛らわそうとしても、問題がわからなすぎて意味がない。
解ける問題がないよ、悲しいことに。
あ、なんかお腹鳴りそう……。
私はお腹に力を入れ、お腹が鳴らないようにした。
あ、なんか頭がパニくってる。
やばいやばいやばい。
とにかく、ドキドキが半端ない。
壱にまで伝わりそうな位、ドキドキしていた。
テスト中、こんなにドキドキしてるのは私だけだろう。
私は壱が好きで。
壱は私の事、何とも思ってなくて。
壱には好きな人がいそうで——……。
完璧すぎる一方通行な片想いだ。
……あぁぁ、テスト中に何考えてるんだろう私。
問題解けっつーの、問題!!
あぁ、でも解ける問題がないんですよ。
——あー、もう考えるのやめっ!!
考える事を放棄します。
そう心の中で宣言した後、机の上に突っ伏した。
思考回路、ばいばいびー。
そのまま私は、テストの間何も考えずに過ごしていた。