コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 87話更新! ( No.379 )
- 日時: 2011/05/01 00:46
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: s26dq553)
- 参照: 一回書いてたの消えた…。描写に気合入れてたのに畜生(0Д・)←
第九十一話『Panic思考』
あっという間に給食時間が終わり、私は給食当番の片付けをしていた。
忘れてたけれど、今日は四時間で授業が終わり。
なので、これを片付けたら家に帰れるぜひゃっほい!!
「じゃあ壱、あとで二十分——……」
「あ、おう」
野菜が入った食缶を持った時、ドアの近くに壱が居るのを発見した。
軽く目が合った……? 気が、する。
自分の勘違いかもしれないのに、こんな些細な事でも胸が高鳴るなんて——。
やっぱ、好きなんだよね。
ちょっとした事でも、どんどん好きな気持ちが膨ら「依麻、なんか垂れてるよ!!」
「……え? ななななぬっ!?」
由良の声で、我に返った。
下を見てみれば、食缶から漏れた野菜の汁が、大量に床に零れていた。
……って、自分のジャージにもかかってるし。
やっちまった……。
「自分の方に向けないで、垂直に持った方がいいよ」
「わ、わかった! 真っ直ぐ、垂直に! 真っ直ぐ、垂直に!!」
「床に零れたやつ、拭いておくからねー」
「ありがとう! 真っ直ぐ、垂直に! 真っ直ぐ、垂直に……」
私は呪文のように唱えながら、廊下へ向かった。
壱が近くにいるから、ドキドキする。
……ていうか、もしかしたら……。
さっきの奇声上げたのとか、野菜の汁大量に零したのとか、見られたかもしれない。
そう考えたら、恥ずかしい事したな……私。
——まぁ、とりあえず今はそんな事考えてる暇ないよね。
いざ、食缶置き場へ!!
待ってろよ、給食のおばちゃん!!
**
無事に食缶置き場から生還しました、水城依麻です。
教室に戻ると、まだ壱が教室に居た。
一瞬だけ胸が高鳴る。
本当は私も教室で壱の近くに居たいけれども、不審に思われるしね。
給食当番も終わったし、後は帰るだけ。
私はバッグとジャンパーを持って、廊下に出た。
「……」
廊下でジャンパーを着ているとき、教室から壱が出て来た。
私は思わず壱の方を見つめてしまうが——……。
壱は下向いて、目を合わせなかった。
これだけガン見してれば、誰でも気付くはずなのに——。
気付いてない? いや、避けられてる!?
そう思っていたとき、私の近くに居た壱の友達らしき人が、壱を見て笑みを浮かべていた。
それだけならよかったものの、今度は私を見た。
そしてもう一回、壱を見て笑う。
……おいおい、もしかしてのもしかして。
この人も、私が壱の事を好きなの知ってるのか。
「——……」
「——や、違うし——……」
壱の友達らしき人が、壱に向かって何かを呟いていた。
どうせ『この人、壱の事が好きな人だろ〜?』とか、言ってるんだろう。
むかつくなぁ……。
好きで何が悪い!!
「……じゃぁ、な」
壱が下を向きながら片手を上げ、そう呟いて去ろうとする。
……しかし、それを壱の友達らしき人が許さなかった。
「!?」
壱の細い腕を掴み、思いっきりこちらに引き寄せた。
そして、私の方に向かって壱を押した——……ってえぇぇぇぇ!?
「……っ、」
壱にぶつかると思って身構えた……けれど。
壱がぶつかる寸前で避けてくれたので、なんとか衝突せずに済んだ。
壱は少し早足でその場から去っていき、気付けばもう見えなくなっていた。
「……びっくりした、」
何なんだ、一体。
あの壱の友達、危険すぎる。
このまま壱が勢いよく突っ込んで来たら、壁に全身強打してたよ私。
しかも、壱とめっちゃ密着する形になったら……。
多分、いや絶対に思考回路がショートする。ていうか爆発する。
華麗に避けられて少しショックだけど、そういう意味では避けてくれてよかった……。
私は少しだけ乱れた呼吸を整え、バッグを持って玄関へ向かった。