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Re: *叶恋華* +実話+ 87話更新! ( No.381 )
日時: 2011/03/30 07:22
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: HPru.2N2)
参照: 頑張っても一日10話は無理だwww←

第九十三話『眩しい笑顔』


次の日の理科も、また理科室であった。
なんでこう、昨日といい今日といい……。
理科室続きが多いんだろう。
まぁ実験好きだからいいけどさ、うん。


「俺、宮田のプロフィール知ってるよー」
「!?」


健吾が突然言い出した為、私は目を丸くした。
まだ覚えてたのか、この人!!


「ちょ、忘れてよ!」
「無理無理」
「本当、忘れて」


隣の班の優も、私と一緒になって言った。
本当に健吾は意地悪だ。ていうか森野だ。


「宮田、顔赤いぞ」
「……っ!!」


疾風がそう言うと、優は言葉を詰まらせた。
見れば優の顔は、本当に真っ赤だった。
普段はサバサバしてる優なのに——……。
こういう所では、本当に乙女だ。


「優可愛い、顔真っ赤!」


私は調子に乗って、そう言ってしまった。
……完璧、口を滑った。
そう思わされるのは、疾風のこの一言がきっかけである。


「お前も、顔赤くさせる方法あるぞ」
「は?」
「あの子の名前を言えば……な」


疾風が不気味な笑みを浮かべ、ドヤ顔をし始めた。
……まさか……。
嫌な予感がしたが、恐る恐る聞いてみた。


「……あの子って、誰?」


そう、これも間違いだと気づかされる。
改めて、なにやってんだ私は。
この時の、私に言ってやりたい。


「壱」
「っ!」


や っ ぱ り そ う き た か
疾風は笑みを浮かべ、壱の名前を連呼した。
私が反応すると同時に健吾と優も一緒になり、壱の名前を連呼し始める。


「珠紀壱」
「壱」
「壱ー」


優と健吾と疾風からの、凄まじい壱コール。
優まで一緒になって……。
さっきの仕返しか、仕返しなのか!?


「……っ」


恥ずかしい。この場に居たくない。
そう思ってると、当の本人……壱がこっちを見た。
そりゃそうだろう、自分の名前を連呼されてりゃあ誰だって振り向く。
しかし状況を察したのか、壱はすぐ目を逸らした。
それによって私の頬は、自分でもわかるくらい熱を帯びる。
——わかりやすすぎる、私!!


「ほら、赤くなった」


疾風と優と健吾の三人は、私を見てからかう様に笑った。
く、くそ……っ!!
こんな風に本人が居る前で連呼されたら、誰だって赤くなるわい!!


「……い、意味わかんないし!」
「依麻、わかりやすっ!」
「……っ!!」


優の一言で、私は言葉を詰まらせた。
あぁぁ、もう本当駄目だってこの状況……っ!!
そう思っていると、突然目の前が眩しくなった。


「!?」


とうとう思考回路が壊れたか——?
私、もう駄目かも知れな……って、まだ死ねるか馬鹿野郎!!
って一人漫才やってる場合じゃない!!
あーっ!!!


「ちょ、眩しいんだけど!!」


眩しさの正体は、疾風が私の顔に向けている懐中電灯だった。
実験に使うものを人の顔に向けちゃあアカン、あかーん。
私が疾風を睨むと、疾風は低い笑い声を上げてライトを消した。
そして、真剣な顔でこう聞いてきた。






「……なぁ、じゃあさ。この光と壱の笑顔、どっちが眩しい?」











「……はっ!?」


何を言ってるんですか、君は!!!!
この疾風の質問に、私の顔は更に赤くなった。


「だからぁ、この光と壱の笑顔、どっちが眩しい?」
「んっ? は、な、何がー?」


私は必死にわからない振りをして、その場を逃れようとした。
しかし疾風は、簡単に私を逃がしてくれなくて。


「……答えないってことは、選べないんだな」
「なっ、なにを、」


疾風はドヤ顔をしながら、何かを企んだ口調でそう言った。
それでも私は、わからない振りをした。
……ごまかすのも、キツイ。


「よくさぁ、笑顔が眩しいとか言うだろ」
「……っ!? し、知らないし!!」


笑顔が眩しい——。
ありますね、えぇありますとも。
現に、壱の笑顔は眩しいと思う……ってこらこらこら!!!
……いや、でも恋してる人ならわかるよね!?
好きな人の笑顔、眩しいよね!? ね!?


「だ、大体! 何でそんなこと聞くのさ」
「いや、なんかあるかなぁ〜って」
「なんもないし!」


そうだよ。『壱の笑顔は眩しい』って晒したら、私が恥ずかしさを得るだけで、疾風には何の特にもならない。
ていうかそんな事、死んでも言うもんか!
何もないし、ただの私の片思い!!
……これも、口が裂けても言えないけどね。


私はこの一時間、恥ずかしさだけを背負って過ごしていた。