コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 94話更新! ( No.399 )
- 日時: 2011/04/05 22:08
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: DvB6/ADf)
- 参照: 本気出しちゃおうぜ!!!!
第九十五話『Situation』
好きだから、
考えてしまう訳で。
「俺昨日さぁ、ヒロ子とデートしたさ」
授業中、いつものように騒がしい龍がそう言った。
ひ、ひろこ……?
え、龍って恋人いるの!?
そう思ったのは私だけではないようで。
「え、龍付き合ってる人いるの?」
壱は目を丸くしてそう言った。
私も気になる、その「ヒロ子」って女の子。
この前まで「好きな人はいない」と宣言していた龍だが——。
ちゃっかりいるじゃないか、羨ましいぜ!!
「あぁ、まぁねー」
「まじで? ヒロ子って誰?」
「ふふふん」
同中? ……あれ、同中にヒロ子って人いたっけ。他中か?
そう呟く壱の前で、龍は笑みを浮かべている。
壱は身を乗り出し、龍に体を近づけた。
一応授業中だけど、ここは後ろの席なので先生の目には届いていない……みたいだ。
龍は自身たっぷりな口調で、こういった。
「まず名前はぁ、秋野ヒロ子」
「……は?」
壱は拍子抜けた声を出した。
秋野ヒロ子って——……。
「ヒロじゃん」
「はぁー? ヒロじゃないしぃ、ヒロ子だしぃ〜。ねっ、ヒロ子?」
「……」
呆れた様に笑う壱。
やや高い声を出して笑いをとる龍。
そして無言で苦笑いをするヒロ子……じゃなくて、ヒロ。
「俺のノロケ聞いてよぉ、壱ー」
「……はぁ?」
「お願い、聞いてー」
「……わかったよ、何? 龍とヒロ子どこまでいったの?」
壱は笑みを浮かべながら、そう聞く。
すると龍はくねくねしながら考え始め、似合わない甘えた声を出してこう言った。
「手つないでぇ、キスしたさぁ〜」
「……男同士で?」
「はー? ヒロ子女だって言ってるべや殴るぞ」
「なんで突然キレだした」
「俺のヒロ子に手を出すな」
「いや、出してない出してない」
龍と壱は、そんなやり取りをしていた。
……この二人、お笑い出したらいけると思う。
龍がボケで、壱がツッコミ? いや、でもたまに立場逆転するよね……。
そんな事を頭で考えていると、
「龍、本当に彼女出来たかと思った」
ある程度やり取りを終えた後、壱がこう言った。
まさかヒロ子=ヒロなんてね……。
ヒロ本人は苦笑いだし。
「——……ねぇ、壱ってさぁ、付き合ってんの?」
「え?」
すると龍が、突然そう言い出した。
壱は再び目を丸くして、
「誰と?」
と聞き返す。
龍は小さく笑みを浮かべ、少しだけ声のボリュームを上げて言った。
「……誰かさんと」
「……」
その答えに、壱は黙ってしまった。
誰かさんって、誰だ。
「……付き合ってないよ」
少し黙った後、壱はそういった。
この発言からして壱って今、彼女居ない……感じだよね。
嘘をついてなければだけど。
でも壱ってモテるよね……。
前由良が言ってた『他中の子三人に告白された』っていう話もあるし、きっとそれ以外にも告白されているだろう。
その告白を全部振ってるっていうのも、凄い話だよね。
ただ恋愛に興味がないだけなのか、それとも——……?
早く想いを伝えなきゃ、他の子にとられる。
そういう可能性だってあるかも知れないけど——。
今の私が告白しても、撃沈するだけだよね。
壱の彼女になれたら、毎日楽しいだろうなぁ……。
毎日学校に行くのが楽しくなって。
他愛のない普通の会話して。
メールや電話したりして。
色んなところにデートして、プリクラ撮って——。
……想像したら、やばい。
「……っ」
こんな事を想像しちゃうのは、好きだからな訳で。
君と付き合いたい、訳であって——。
改めて、頑張りたいって思った。