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Re: *叶恋華* +実話+ 94話更新! ( No.401 )
日時: 2011/04/09 20:51
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 7ouSN2YT)
参照: あなたと私でランデブー?←

第九十六話『君の想い人』


「——おい、珠紀壱!!」


次の日——。
健吾は私の顔を見ながらそう叫んだ。


「……おい、お前だよ。珠紀壱の事が好きな奴」
「!?」


てっきり健吾は壱の事を呼んでいたのかと思いきや——。
私 の 事 だ っ た の か


「……私、違うんですけど」
「違わないべ、壱の事好きなんだろ」
「ちょ、うるさい! しかも私の名前、水城依麻だし」
「うるせぇ珠紀壱」


健吾は人の話を聞かないみたいです。
そんな所も森野とそっくりです。
そっくりすぎて苛々する、今日この頃。


「——ね、そういや壱さぁ——……」


私と健吾のやり取りを聞いていたのか、後ろの席の龍が壱に話しかけた。
龍は壱の耳元で、何やらコソコソと話している。


「……好きな人——……」


聞こえた内容からして、どうやら恋バナのようだ。
もしかしたら、『水城って壱の事好きなんだって〜』とか馬鹿にしてるのかもしれない。


そう思っていると、


「え、龍……。その人のこと、好きなの……?」


壱が若干震えたような声で呟いた。
どうやらこの言葉からして、私の事を馬鹿にした内容ではないようだ。
とりあえず、安心。


「え、俺? 俺好きな人いないし!」


龍は笑い交じりにそう言った。
龍の好きな人もまぁ気になるけど、やっぱ壱の好きな人が知りたい。
というかまず、本当に好きな人がいるのか。
そして、居たとしたら好きな人はほのかなのか——……。
とにかく、真実を知りたい。


「——え、壱さぁ、好きなんでしょ?」
「え、は、」


やっぱり壱は、好きな人がいるのか。
この壱の慌てっぷり、絶対いるよね。
私はしっかりと二人の方に耳を傾けた。


「……誰を?」
「……いや、それは——
「誰が好きだって!?」


ちょうど肝心なところで、吉澤が乱入してきた。
この吉澤めぇぇぇ!!!
龍が言いかけてたのに……くそー!!


「え、や……」


壱は更に慌てだす。
本当に誰。好きな人誰。
私が壱と親しい仲だったら、すんなり聞けるのに!!
片想いの壁って辛い、辛すぎる。


「壱は誰が好きだってー?」
「……や、その——……」
「——うん、大丈夫。わかってるよ」


散々壱を焦らせた後、吉澤は笑みを浮かべてそういった。
知 っ て る の か い !!
吉澤め、知ってるのに何故話に割り込んできたんだ。


「……」


そして……。
好きな人は誰なんですか、珠紀君。