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- Re: *叶恋華* +実話+ 94話更新! ( No.402 )
- 日時: 2011/04/09 21:40
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 7ouSN2YT)
- 参照: あなたと私でランデブー?←
第九十七話『欲張りHeart』
ほら。
こうやって、また好きな気持ちが増えていく。
**
放課後。
私はジャンパーに袖を通しながら、教室に向かった。
目的は、教室に居る由良に会いに。
一応保健委員の由良は、教室掃除の点検に入っている。
「由良ー」
「お、依麻〜」
教室に入り、小走りで由良の所へ向かった。
由良は椅子に座って、掃除点検の紙に色々書き込んでいる。
それを見て、ふと思った。
そういえば、今日の教室当番って——。
壱の班じゃん。
掃除点検の紙から視線を外し、教室を見回した。
するとちょうど、ほうきを持った壱を目が合った。
「!」
「——依麻、どしたの?」
「……え、あ! きょ、今日一緒に帰れる?」
壱と目が合って少し慌てていると、由良がペンを動かしながら呟いた。
それで私は我に返る。
教室に来た目的を、忘れるところだった。
「え? あ、うん。じゃあ掃除点検終わるまで待ってて」
「了解!」
掃除点検でも何でも、ばっちこーい。
私は笑みを浮かべ、教室から出ようとした。
すると、
「ハゲたらこ」
「!?」
疾風に呼び止められ、私は振り返った。
いや、私ハゲたらこじゃないんだけどさ。
「お、聞こえてたんだ」
「うっさい」
そう言いながら疾風を睨むと、奴の横に壱が居る事が判明した。
壱と軽く目が合い、私の顔は一気に引き攣った。
多分今の私、いつも以上にブサイクな顔になってる。
「ハゲたらこうるさいな、誰か追い出せー」
言われなくても、もう教室から出ていきますよ。
私はそう目で訴え、足を進めようとした。
すると疾風は笑みを浮かべ、
「壱〜の〜顔が〜もごもごー」
「……っ!」
そう大きな声で言い始める。
それと同時に壱は目を丸くし、ほうきから手を離して疾風に襲い掛かろうとした。
疾風は壱が襲い掛かるのを予想していたかのように、華麗に逃げ始める。
陸上部の疾風は最早見えなくなったが、壱は慌てて疾風を追いかけて行った。
「…………」
壱の顔がもごもごって、どういうことだ?
そして、あの壱の慌てっぷり——。
今日は疑問が積もるばかりの日だ。
壱の好きな人とか、疾風の発言とか——……。
だけどやっぱり、毎日些細な事でも『好き』って気持ちが増えていく。
心の中が、この気持ちでいっぱいになる。
積もっていく。
恋って、本当不思議だ。
『好き』って気持ち、大きくなるたびに私は欲張りになる。