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Re: *叶恋華* +実話+ 94話更新! ( No.407 )
日時: 2011/04/10 04:00
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tnkG6/9W)
参照: あなたと私でランデブー?←

+番外編+ 『龍くんと壱くんのとある会話』


Scene.2 珠紀壱の場合(壱目線)




「俺ね、生き別れた弟いるさー」


数学の授業中。
隣の席の門外龍が、突然話しかけてきた。
まぁ、龍はいつも暇になったら話しかけてくる。
これ、日常ちゃーはん……あれ?
にちじょうちゃはん? さはん?


……に、日常茶飯事ね。


龍は世間でいう『坊主』って奴だけど、ギャグ線はピカイチだ。
俺をからかってくるのは腹立つけど、とにかく面白い性格の龍と会話をするのは楽しかった。
だから今回も、


「弟って、どこにいんの」


そう言って、話に乗ってやった。
すると龍はドヤ顔をしながら、胸を張ってこう言った。


「インドネシア」


イ ン ド ネ シ ア ?
なんでインドじゃなくて、インドネシアなんだ。
……あれ、インドってインドネシア?
やばい、龍のせいで頭混乱してきた。


「インドネシア!? 名前何?」
「八雲。八に雲って書いて、やくも」
「やくも……っ」


やくもって、なんじゃそりゃ。
八に雲だったら、『はちうん』か『はちくも』だべ。
俺はそう言いながらも、ツボにハマって爆笑してしまう。


「もう一人、いずみっていうのがいる」
「いずみ?」
「そう。いずみ。一番下の弟」
「男かよ!」


俺は思わず大声でツッこんでしまった。
今これが福野の授業だったら、俺も龍も終わってたな。


というか、『いずみ』っていうから、普通に女かと思った。


「いずみって、なんて書くの?」
「ん? 出に泉ってかいていずみ」
「出に泉って……。つか、男でいずみってやだな」


女子と勘違いされそう。
俺はそう思いながら、苦笑いをした。
なんだか龍のドヤ顔が無性に腹立ってくるんだけど、なんでだろう。


「……つーか、出に泉だったら、普通に読んだらでずみだよな」


龍は笑みを浮かべてそう言った。
龍のその発言に、俺は目を丸くする。






            「——え? デブミ?」






「デ……ブ……っ」


龍は盛大に吹き出した。
な、なんだ!?
俺は軽く驚きながら、龍を見る。


「デブミって言わなかった?」
「でずみだよ! あー、今頃八雲にてるみ、……じゃねぇ、出泉どうしてるかな」


でぶみ……じゃなくて、てるみ?
てるみ……じゃなくて、いずみ?
でるみ? てぶみ? いぶみ? いるみ?
俺は再び爆笑した。
あー、笑い過ぎて腹痛ぇー。


「てるみって……っ! デブミだろ?」
「ちげぇよ」


俺は笑い過ぎて息が乱れながらも、そういった。
すると龍は、髪の毛のない気持ちよさそうな坊主頭を触りながら、咳払いを一つし始める。
な、何が始まるんだ?


そう思っていると、


「——つーか俺さぁ、壱のこと親友って思ってっけどさーっ」
「うん」
「壱はどう思ってんのかなーって」


予想外の、質問。
ここで、龍と俺の愛の深さ……いや、絆の深さを試してみようっていうのか。
俺は龍大好きだぜ?
……なんか、照れくさいけど。
面白いし、絡みやすいし。
たまに通り越してうざい時あるけどさ。
そう思いながら俺は、上を見上げて小さく呟いた。


「……そうだな、あいつどう思ってんのかなー」
「いや、お前だよ」


龍の鋭いツッコミが入った。
冗談だよ、冗談。
俺は笑みを浮かべて龍を見た。


「あ、そっか。……うん、デブミに聞けばわかるよ」


龍をからかうのは、面白い。
だって、あの顔。
あの目が点になった顔、図体に合ってなくて面白すぎる。


「デブミじゃねぇってっ! 何回言ったら覚えるのよ」
「いずみいずみいずみいずみいずみいずみいずみいずみいずみ——…………」


俺は呪文のように唱え始めた。
言っとくけど、今授業中だぞ?
俺がブツブツ騒いでると、注意される。
だけどその時は『龍』に罪をなすりつければいいだけだし、きっと先生も『さきにちょっかいかけるのは龍』だとわかっている。


「——……よし、覚えた」
「よろしい」
「デブミ」
「……おい」


最初は俺がからかわれていても、結局最終的には俺がからかう。
これ、日常茶飯事……ね?
ちなみに俺の言動、悪気もないしわざとでもないんだよー。


「でずみー。てるみー。でぶみー」


授業も後、数分で終わる。
いい暇つぶしになった気がする。
見逃してやるよ、坊主頭め。


イカつい体形だけど、怖くなんかじゃなくて。
無口に見えて、実はムードメーカーだったり。
鋭くてツッコミ役だけど、時にボケを入れて——。
俺の大好きな、親友。まい べすと ふりえんど?
……あ、ふれんど?


「龍、」
「……あ? 何だよ」
「ハーゲ」
「……」


この反応が毎日面白くて、仕方がない。
龍のお陰で、俺の毎日は楽しく過ごせている。
そんなこいつを、俺は——……。


「——壱てめー!!!」


龍が叫んで俺に襲い掛かったのと、授業終了のチャイムが鳴るのはほぼ同時だった。


——やっぱ、前言撤回だ。