コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 98話更新! ( No.417 )
- 日時: 2011/04/17 00:03
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: MIiIBvYo)
- 参照: 『DRY JET GIRLY MACHINE』かっこよすぎ(ぇ
第百話『モドカシイ、』
この気持ち、
もどかしすぎて。
「——好きなんだろ」
技術室での授業中、そんな疾風の声が耳に入った。
疾風の視線の先には、壱。
最近、何故か壱の恋の話題が多い。
その話題を聞くたび、私の胸は苦しくなって。
何ともいえない気持ちが溢れ出して、締め付けられるように心が痛くなる。
傷ついてもいいから、好きでいたい。
そう頭の中で思うけれど、心の中は正直であって。
壱の恋の話題が出る度に、心が痛すぎて。
何も出来ない自分に腹立って。
泣きそうに、なった。
「……」
壱と、目が合う。
その瞬間、なんだか言い表せない気持ちになって。
私はゆっくり、壱から目を逸らした。
なんなんだろう、この気持ち。
罪悪感と似たような、似てないような。
全然甘くなくて、ほろ苦い何ともいえない気持ち——。
誰か、この気持ちの名前を教えてください。
**
「いっちゃん、好きな人誰?」
教室に戻ると、直樹のよく通る声が聞こえてきた。
また壱の恋の話かぁ……。
今男子の間で流行ってるのかな、こういう話。
それとも——、
「……え、」
「いるんでしょ、好きな人」
直樹が笑みを浮かべながら壱を見る。
壱は軽く笑いながら、手を横に振った。
「や、いないし……」
壱の態度は、なんだか怪しい。
絶対好きな人が居そうな素振り。
——駄目だな、最近この事ばかり考えてしまう。
まだわからないのに。
わからないうちに決めつけちゃ、いけないのになぁ……。
「——……、」
「——じゃあ紙に書いて」
二人は何やら小声で話した後、直樹が壱に紙を渡した。
壱はそれを受け取り、何かを書きだす。
そしてすぐに、直樹に渡した。
直樹は紙を見て、一言。
「……ホモかよ」
こう、呟いた。
壱は手を横に振り、小さく笑う。
「違う違う!」
「いっちゃん、女で好きな人だよ」
「……いないっ、いないし!」
なんだか、壱の否定の仕方が怪しい。
好きな人、他中だったりするのかな?
そう考えたら、キリがない。
この関係、もどかしすぎて。
どうにかなっちゃいそうなくらい、心がモヤモヤしていた。