コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 98話更新! ( No.432 )
- 日時: 2011/04/17 04:10
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: Qs8Z87uI)
- 参照: 触ってないのにマウスポイント(?)が勝手に動き出した0Д0怖
第百二話『心理テスト』
次の日——。
今日も授業中に健吾と疾風にペンを奪われた。
しかもその二人は、壱の方に目掛けてペンを次々投げ始めるもんだから、辺りから注目を浴びる。
ちょ、私のペンは玉入れの玉じゃないんだからさ。
そして壱に目掛けてペンを投げないでください、当たったらどうするのこれ。
「へーいへーいへーい」
へいへいじゃないですよ、健吾さん。
壱は黙って私のペンを見ている。
私は慌てて壱の視線にあるペンをかき集め、拾いあげた。
すると疾風が、不気味な笑みを浮かべ始める。
「結構いい方に行ったと思うけどな」
疾風はニヤつきながら、そう言った。
く、くそ……っ!!
私は言葉に詰まりながら、疾風を睨んだ。
「……っな、なにが!」
「なーにも?」
むかつくなぁ……!
そう思ってると、疾風は壱の方を見てニヤつき始めた。
こらこらこらこら。
「……ぇ、なに? 疾風」
疾風は無言でニヤついたまま、前を向いた。
はたから見れば、ただの怪しい人だと思う。
物事を理解していない壱は、頭にクエスチョンマークを浮かべたまま、きょとんとしていた。
*理科室*
「——んじゃ、心理テストなー」
実験の班の席で、疾風がそう言った。
疾風はこういったクイズや心理テストを出すのが大好き。
クラスの人達もこういうのが好きだし、班の人も好きだ。
なので、私も含めて疾風の心理テストをすることにした。
「——水城の結果はねー。実行する前には人に何でも言えるけど、いざとなるとまったくできない人」
……当たってます、疾風サン。
当たり過ぎて怖い、うん。
私は実行する前には、人に何でも言える。
だけどいざとなったら、勇気が出ないまま自己嫌悪に浸る。
うん、当たってる。
そう思ってると、同じ班の冬香ちゃんが口を開いた。
「当たって砕けるって言葉、嫌だよね」
突然、何故にこういうことを言ったのかはわからない。
わからないけど、疾風と健吾が反応したのは確かだ。
「水城はあの子——」
「は?」
「見つめてるのにね」
疾風と健吾に言われ、私は目を丸くした。
見つめてるって、私が?
や、やだ、無意識のうちに壱を見つめてた!?
「珠紀Iさんの事?」
「うん」
冬香ちゃんがそう言い、健吾が頷いた。
珠紀Iさんって、もうほとんど答え言ってる。
隣の班に壱いるんだから、聞こえるでしょうが!!
「アピールすれば?」
疾風が笑みを浮かべてそう言った為、私の思考回路は固まった。
思わず顔が赤くなる。
「なっ……」
「つか水城って、当たって砕けかけたよな」
「え?」
当たって砕けかけた……とは?
私は更に目を丸くして、健吾を見た。
「告白未遂。でも壱がやだって逃げたんだよ」
「……っ、してないし! うるさい」
顔に熱が帯びるのがわかる。
なんで健吾が告白未遂の事知ってるんだ……!!
「…………」
壱がやだって逃げたって——。
……そうだよね。
私と壱喋ったことないし。
お互い、色んな事知らないし。
やだって逃げられるの、当たり前だから。
辛くても、現状だから。
「嘘つくな、水城」
「嘘じゃ、ないし」
「水城、お前は嘘の重大さをわかってないな」
「うるさい」
余計なお世話だ。
本当、健吾は森野に似過ぎだよ。
そう思ってると、疾風と冬香ちゃんが次々に口を開いた。
「当たって砕けてこい」
「そうだよ」
当たって砕けろ——……か。
そんなの、
「……出来ないよ、」
私は小さな声で呟いて、俯いた。
何回繰り返せばいいんだろう。
当たって砕けて、やっと再生して、新しい恋して。
また当たって砕ける。
何回過ちを犯せばいい?
「本当、俺の心理テスト当たってるな」
うん、本当ね。
疾風の心理テスト、当たり過ぎて凄いと思う。
なんだか今のもどかしい気持ちが見透かされたような気がして、少しだけ怖かった。