コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 111話更新! ( No.459 )
- 日時: 2011/04/25 18:03
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: syQ.nMvr)
- 参照: 走り高跳び最悪← 学級写真なまら顔でかく映ってて最悪←
第百十二話『眩しい姿』
十二月二十五日——。
昨日のクリスマスパーティーから、一日が経った。
昨日は由良と愛奈、他のクラスの女子と、由良セレクトの男子——……。
中条とその仲間で由良と愛奈の元カレ、林田誠。
そして、一つ下の後輩の大北隼太。
大勢で集まり、特に何もなく友人と過ごすクリスマスは終わった。
「……ふぁぁ……」
そんなこんなで、現在は体育館で終業式中でございます。
昨日の疲れがまだとれてないのか、欠伸が連発で出た。
校長先生は、どうして話が長いのでしょう。
どこの学校でも長いよね、校長先生の話って。
不思議だ、不思議すぎる。
今なら三秒で寝れる。校長パワー恐るべし。
私はそんな事を考えながら、襲ってくる眠気に耐えて時間が過ぎるのを待っていた。
**
終業式が終わり、教室に戻る。
一日ぶりに座る、前まで抵抗があったこの席。
一日ぶりに見る、壱の学ラン姿。
一日ぶりに見る、壱の顔。
『照れてるだけじゃないかなぁ?』
由良の言葉が頭に思い浮かぶ。
あの時の由良の励ましで、大分前より心が軽くなった。
だからこうして、前より抵抗なくここに座れる。
本当、由良さんに感謝です。
「……」
気まずい関係、うん。
そう自分に言い聞かせ、前を向いた。
「——じゃあ、冬休みも事故なく過ごせよー!」
福野の大きな声が教室に響き渡り、帰りの会が終わった。
皆一斉に散らばり「よいお年を」とか「冬休みメールするね!」とか、少し教室が騒がしくなり始めた。
「——依麻、帰ろ!」
「あ、うん!」
由良が黒い皮のスクバを片手に持ち、笑みを浮かべた。
私も自身のボロボロのスクバを背負い、廊下へ向かって歩く。
その時、
「——あぁもう、暑い! ジャージにしよ」
窓の方から壱の声が聞こえ、反射的に振り向いてしまった。
見れば、壱は学ランの上を脱いでいる。
……って、うおおおおおお!?
「おぉぉ、壱かっこいい〜」
犬ちゃんが尻尾を振りながら、壱に向かってそう言った。
……犬ちゃんの言う通り、だ——。
ちょっと乱暴に学ランの上を脱ぐ姿。
細いけどしっかりとした体に、白いワイシャツ……っ!!
壱、ワイシャツ似合いすぎる!!!!
ぶばばばばば……っ!
私は壱のその姿にくぎ付けになっていた。
ワイシャツの上に、華麗にふわっとジャージを羽織る姿。
それは、息を飲むほどかっこよくて。
やばいよ、ワイシャツに壱って相性抜群。
学ランに壱も相性抜群だけど、これはやばい。
またワイシャツがはだけて鎖骨……っ!!
「——依麻?」
「!」
由良に声を掛けられ、我に返った。
いけない、このまま壱に見とれてたら間違いなく倒れる。
私は軽く咳払いをし、止まっていた足を進めた。
だけど、もう一回——。
今日は壱と接点なかったし、ちょっとだけ最後に見ちゃおう。
そう思い振り返った時、
「——……っ!」
最後の最後に、目が合った。
いや、私が振り返ったから合うに決まってるけど。
偶然でも、とても嬉しかった。
「——じゃあ、由良! 帰るか!!」
「おーう! あ、今日の夜メールしよ」
「うん!! いいぜよ〜」
私と由良は世間話をしながら、廊下を歩いた。
廊下から見える窓の景色は、眩しいほど真っ白だった。
「……」
冬休み——。
嬉しいけれど、君に会えないのはちょっぴり寂しい。
……なんてね。
水城依麻、十四歳。
中学二年生の、冬休みが始まる——。