コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 123話更新! ( No.482 )
- 日時: 2011/05/02 23:19
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: k5KQofO8)
- 参照: 痛みを嫌うより 生きた証を残したい(by.ラセンナワタシ
第百二十四話『○cmの距離』
次の日——。
「——……」
私は、茫然と立ち尽くしていた。
今は、美術の授業。
教室に入ると、皆席順に座っていた。
今までは班順になっていたのに——。
壱と隣なのはいい、それは嬉しいんだけど……。
なんか、私と壱のとこだけ異常に席が近い。
「……っ」
ずっと立ち尽くしてるのも変に思われるので、私はゆっくり席についた。
な、なんか気まずい……。
先に席に座っていた壱は、こっちに背中向けてるし。
「——では、今日の美術の授業は——」
授業が始まって先生が喋り始めるのと同時に、壱は正面を向いた。
さっきよりは背中を向けてないけれど……なんか、違和感があるというか避けられてるというか。
でも、たまに視界に入る壱の横顔がかっこいい……っ!!
しかも、壱が机に突っ伏した時に、たまにこっちに顔を向けるからドキッとする。
今日は席が異常に近いので、尚更だ。
「……っ!!」
やばいやばい心臓が……っ!!
そう思いながら固まっていると、時間が経つにつれ徐々に壱との距離が離れていった。
さ、さっきのは異常なくらい近かったからね!!
あぁぁ、ドキドキしたぁ……。
時間が経つのが早く感じながらも、私は集中出来ないまま授業を受けていた。
**
「見て見て依麻〜!!」
「うぉっ!?」
休み時間——。
次の授業の準備をするためにバッグを開いた瞬間、由良が後ろから突っ込んできた。
思わず野太い声が出てしまい、慌てて咳払いをして由良を見る。
「ど、どしたの?」
「これっ! 亜夢とデートしたときに撮ったプリクラ〜!!」
由良は効果音が付きそうな位の勢いで、プリクラを出した。
見れば、亜夢先輩とのツーショットプリクラ……。
うわぉ。
「もうデートしたんだ……。早いですのぉ」
「うほほほほ、やばいよもーっ!!」
由良は頬を赤らめて、私の背中を何度も叩いた。
ちょ、地味に痛いです由良さん。
「……」
ふと軽く横を見ると、近くに壱と原田くんと疾風が居た。
うわ、こんな近くに居たんだ……。
さっきの野太い声、聴かれたかもしれない。
やばいやばい。
そう思いながら、由良の炸裂恋バナトークを聞いていた。
「でねっでねっ!? 来週もまたデートするんだぁ」
「いいねぇ〜!! あなたラブラブじゃん」
羨ましいぜ、由良さんよ!!
私は由良の腕をつつきながら、からかう様にそう言った。
しかし、由良には伝わってなかったらしく——。
「ハナタレらぶらぶ?」
「違」
私の滑舌が悪すぎて、『あなた』が『ハナタレ』に聞こえたみたいだ。
どんだけ滑舌悪いんだ、私。
しかも、一文字も聞き間違えの言葉と合っていない悲しさ。
それを微かに紛らわすために、笑みを浮かべながら話を変えた。
これが、墓穴を掘ることになるとは知らずに——。
「本当ラブラブで羨ましい!!」
「依麻ももハナタレとラブラブじゃん」
「え、ハナタレって誰?」
私は笑いながらそう聞いた。
その時に、一瞬だけ壱と目が合った…………気が。
いや、気のせいだよね。
壱がちょうど私の見える視界に居るから、うん。
そう自分に言い聞かせてると、由良が衝撃的な一言を漏らした。
「てか依麻、付き合うんでしょ?」