コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 124話更新! ( No.485 )
- 日時: 2011/05/04 00:55
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: xSFqyKL7)
- 参照: 痛みを嫌うより 生きた証を残したい(by.ラセンナワタシ
第百二十五話『一筋の想い』
「……え? 誰と?」
数秒の間が空いて、私は返事をした。
な、何を言ってるのこの子は。
壱の訳がないし、壱は片想い。振られたばかり。
しかも私、誰かと付き合うなんて一言でも言った?
真面目に、言葉の意味がわからなかった。いや、本当に。
「……」
由良が大きな声で発言したせいか、辺りはなんだか一瞬にして静かになった。
ガンガン話してた疾風たちまで黙っちゃったし……。
ちょ、由良さん。
「え、違うの?」
「え、えええ? ちょ、待って、誰?」
「いや、林田誠と」
林 田 誠 !?
なんでその名前が出てきたんだ、由良よ。
私はこれ以上にはないくらいまでに目を見開き、気付けば大声で叫んでいた。
「はっ!? 何で!!」
「え、だって本人がいってたし」
「はぁ!? 知らないよ、私」
林田、なんて事をしてくれたんだ。
世の中ついていい嘘と悪い嘘があるんだぞ。
しかも、私一度も林田と付き合うなんて言ってない。
壱が好きなのに、言う訳がないじゃないか。
ていうか、大体どっからその話が……。
「えー、何! 依麻誰と付き合うの〜!?」
思考回路が狂いかけた時、優が話に入ってきた。
ちょ、優も声でかいよ……。
近くに居る壱たち、未だに黙ってるし。
疾風とかこっち見てるし。
ちょっとどうしよう、これ完璧聞かれてるよね。
そう思ってると、由良は新たなる爆弾発言をした。
「誠が、依麻の事好きなんだよね」
「……えっ」
またもや、野太い声が出てしまった。
これは、何かのドッキリですか。
私、林田誠とそこまで関係あるわけじゃないし——。
クリスマスパーティーの時、少し遊んだだけだ。
うん、それだけ。
ていうか大体、林田誠が私の事を好きになるはずがない。
うん、絶対に。
私を好きになる男子なんて、今まで居なかったし。
だから私は、この時ただの由良のデタラメと思っていた。
「うぇえっ!? あの林田誠!? よかったじゃん」
「え、や、な、え、違、」
だから、林田誠が私の事なんか好きになるはずがない。
しかも私は、壱が好きなんだよ。
なのに——……。
そんな大声で『依麻が林田誠と付き合う』なんてデタラメ言ったら、周りに『もう好きな人変わったのかコイツ』みたいに思われるかもしれない。
壱のこと、諦めたと勘違いされたかもしれない。
壱にも『やっぱ所詮、その位の程度だよなこの女。気安く俺に好きなんて言うんじゃねぇよ』なんて思われたのかもしれない。
振られたって、好きでいるのは駄目なんて誰が決めた?
私は壱だけが、好きなんだよ。
振られた位ですぐ好きな人なんて変わらないし、簡単に諦められる訳がない。
片想い上等、何があっても壱一筋。一途上等。
——簡単には曲げられない、強い想い。
この想いが、まだ私の心の中にあるのに。