コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華* +実話+ 127話更新! ( No.493 )
日時: 2011/05/05 01:43
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: h7rqA5xU)
参照: 痛みを嫌うより 生きた証を残したい(by.ラセンナワタシ

第百二十八話『同じ動作』


**


数学の授業。
抜き打ち小テストをやることになり、皆少しずつ隣の席の人と離れる。
壱は隣の乙葉と離さなきゃいけないし、私もヒロと離れなきゃいけないので——。
いつも以上に、距離が近かった。


「……っ」


テストが始まっても、全然集中できない。
というか、問題解けないし。
壱もわからないのか、机に突っ伏したり起きたりの繰り返しだった。
そんな姿もまたかっこよくて——……。


——駄目だ!!
こんなんじゃ冷静でいられない!!
私は気を紛らわせるため、机に顔を伏せた。


……だけど、やっぱり隣の壱が気になって。
少しだけ顔を上げて、横を見てみた。


「!」


見ればさっきまで起きていた、壱も寝ていた。
壱も眠るなら、私も眠ろう!!
解ける問題もないし、まだ時間もあるし……。
私はそう思いながら、ゆっくりと目を閉じた。



















「——はい、終了〜」


テストが終わり、先生の弾むような声が聞こえてきた。
……結局、緊張して眠れなかったし。
というか机って寝づらいよね、よく皆眠れるなぁ……。
そう思いながら私は前髪を整えた。
壱の方を見ると、壱の方が先に起きてたみたいで、少し乱れた髪を整えている。


私も前髪を整えていて、壱も髪の毛を整えている。
偶然、だった。
それだけなのに——。
なんか、同じ動作してるっていうのが嬉しい——……。


私はニヤけそうになるのを堪え、小テストの自己採点をしていた。


**


「——はい、二点〜」


自己採点タイムが終わった後、壱はそう言いながら伸びをした。
壱は三十点満点中、二点かぁ……。


そういう私も、四点ですけどね。
壱と二点しか変わりません。
そして私は四問合ってただけでも、奇跡だ。


そう思っていうと、健吾が後ろから声をかけてきた。


「みかみいあさ何点」
「四点」


いあさってなんやねん。
しかも三上じゃないし……。
そう思いながら躊躇いもなく点数を口に出すと、


「うわ」
「……っぷ」
「だっさ」


龍、疾風、健吾の順に笑い声が聞こえた。
なに、何がおかしい。
……まぁ確かに、私の席の周り皆頭いいんだよね……。
冬香ちゃん、疾風、龍とかさ。
健吾とはいい勝負……いや、健吾の方が頭いいね。
なんかこう、悲しくなってくるよ……。


「四点とかどうやったらとれんのよ」
「みかみいあさ馬鹿だな」
「うるさい、うるさいよもう」


二点の壱君はどうなるんだよー、うぅぅ……。
私はそう心の中で訴えながら、横を見る。
見れば、壱は私に背中を向けていた。
頬に片手を当て、犬ちゃんと楽しそうに話している。


気付けば、私も壱と同じように頬杖をついていた。


「…………」


私と壱、同じ体制じゃん……。
偶然に決まってるし、たったそれだけなのに。
私の心は、やっぱり異常な位ドキドキしていた。