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Re: *叶恋華* +実話+ 127話更新! ( No.495 )
日時: 2011/05/05 03:08
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: h7rqA5xU)
参照: 痛みを嫌うより 生きた証を残したい(by.ラセンナワタシ

第百三十話『君の、』


些細な事でも勘違いしてしまう私って、


なんて馬鹿で、


なんて惨めで、


なんて、気持ち悪いんだろう。













「——じゃあ、一回目の実験結果を比べながら実験開始しろ〜」


本日二回目の実験。
また作業を健吾たちに任せ、私は実験を見ていた。
私がビーカーとか触ったら絶対壊すし、ね。
人任せはよくないけれど、壊して先生に怒られたら困る。


まぁ、それはともかく——……。


「……」


さっきから、龍がガン見してくるのですが。
しかも強烈に怖い顔で。
何、何なの一体!?
私は龍と目を合わさないようにし、心の中でパニックになっていた。


「……龍、どこ見てんの?」


壱も龍の行動が気になったのか、笑いながらそう聞いた。
すぐ後ろから聞こえる声……やばい。
違う意味でパニックになっていると、龍が笑顔でこう言った。

















「壱のん〜〜の人」


















——……は、い?


「……なにぃ?」
「壱の、ん〜〜の人」


ん〜〜の人って、え?
壱の、ん〜〜の人……?
え? え?
私の頭は、パニックになっていた。


「んえ?」
「いーちーの、ん〜〜のひと」
「はい?」


壱も変な声を上げ、何回も龍に聞き返した。
それと同時に私の心拍数は上がる。


「だからぁ、壱のん〜〜」
「や、ちょ……ヒロ、龍ちょっと、なんとかして」


壱は少し慌て始め、龍の隣に居るヒロに助けを求めた。
しかしヒロは、


「……」


無 言 。


「ふふふっ」
「ちょ、ヒロ〜! 止めろよ〜」


勝ち誇ったような顔をした龍は、不適に笑った。
壱も笑い交じりにヒロに訴える。


「…………っ」


そんな壱たちを差し置いて、私の鼓動はうるさいぐらいに速くなっていた。
ん〜〜の人って……!!
ドキドキを抑えながら、悪い頭で考えてみた。


『壱の好きなの人』
うん、まずこれはない。
絶対にありえない。
文章的におかしいしね。

『壱のことを好きの人』
ちょっと文章的にはおかしいけれど、でもきっとこれだよね。
やっぱ龍には私の気持ちがバレている——。
……確か、私の告白未遂現場も見た人だしね。




馬鹿みたいだけど、一瞬だけ期待してしまった。
龍が言った言葉が『壱の好きな人』だったらって——。


そんな事、ある訳ないのに。