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Re: *叶恋華* +実話+ 130話更新! ( No.499 )
日時: 2011/05/05 20:43
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: LJWVvIF8)
参照: 痛みを嫌うより 生きた証を残したい(by.ラセンナワタシ

第百三十一話『SweetDream』


——今日も、愛しい人が私の名前を呼ぶ。
柔らかい、それでもはっきりとした口調で。


「——水城」


大好きな人に名前を呼ばれるのって、なんてくすぐったいんだろう。
その心のくすぐったさに笑みを漏らしながら、私は彼に近づく。
ふんわりと香る、さわやかな匂い。
甘酸っぱい、恋の味。


「水城って呼ばないでさ、依麻って呼んでみてよ」
「え」
「私だってさ、壱って呼んでるんだよ? 付き合ってるんだからいいじゃん」


笑みを浮かべ、壱の細い腕を掴む。
壱は軽く驚いたような顔をし、私を見る。


「…………」
「壱?」
「や、え、……」


壱の顔は、どんどん赤くなっていった。
やばい、可愛い……。
途端に私の中で何かが目覚め、気が付けば壱のジャージの胸倉を掴んでいた。


「!?」
「そんな顔されると、奪いたくなる」
「え、なっ……」
「襲われたいんですか、君は」


私は強引に壱を引き寄せた。
そして自らの顔を彼に近づける。


唇まで、あと数センチ——……。



























「うわぁっ!?」


私は勢いよく布団から飛び跳ねた。
……朝——……?
辺りを見回せば、自分の殺風景な部屋が広がる。
ゆ……、夢か……!!
あは、あはははは!?
強引にCHU!?
しかも私から!?
壱と付き合っ……えぇ!?
し、しししし心臓が……っ!!


「……うぉぉぉ」


どんだけ私、夢の中で積極的なんだ。
ていうかなんでこんな夢を見た、自分。
……でも夢って確かさ、自分の欲望とか、強く願う気持ちが出るって言うよね……?
うわぁぁぁなんて厚かましい奴なんだ私!!


「い、今何時だ!」


私はドキドキを押さえつけ、携帯を開いて冷静になった。





七時半



「……うわぁ遅刻する!!」


私は掛け布団を足で蹴り飛ばし、慌てて起き上がった。
十分で用意するしかないぞこれは……っ!!
自分の夢(妄想)の馬鹿——!!


私は心の中で叫びながら、学校へ行く準備をした。