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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.50 )
日時: 2011/01/29 21:27
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3JMHQnkb)
参照: まーぐなーむ(・3・)プップー

第十話『KISS&YOU』


好きになったからには、


君のことが、もっと知りたい。








次の日——。
一日は平凡に過ぎ、放課後活動の時間になった。
今日は本格的に、貼り絵の作業。
私は画用紙をちぎりながら、溜息をついていた。


「……ねぇ、藤堂って新とどうなったの?」


そんな時、叶汰の声が耳に入ってきた。
そう、私と幼馴染の藤堂かおんは——。
同じクラスの矢沢新と付き合っている。
かおんと新は、性格も似てるし合ってると思う。
やるなぁ、かおん!!


かおんは幼稚園時代からモテるしなぁ……。
しっかり者だし。
そう思いながら、叶汰とかおんの会話を聞いていた。


「今何か月?」
「四か月」
「おぉ! ね、キスした?」
「……うん」


かおんキス済みかぁーっ!!
ひゅーひゅー、やるねっ!!
幼馴染に先越されるなんてなぁ、ちくしょーっ!!
……いいなぁ、かおん。


「叶汰はいつキスしたの?」
「俺? 俺はねぇ、初キスは優と付き合ってるとき。俺からした」


——ん?
今、なんつった?


初 キ ス は 優 と 付 き 合 っ て る と き !?


え、え?
優って、あの宮田優だよね!?
え、優と叶汰って幼馴染だよね?
二人、付き合ってたの!?
しかも叶汰からって……え、えぇぇ!?


「その次は先輩からだったな……」


先 輩 と も か !!
なんてこったい、叶汰!!
やっぱ顔がかっこいいし性格も明るいから、モテるのかねぇ……。
うん、うん……はぁ……。


嫌な事を、聞いてしまった。


**


その日の帰り道。
私は由良と通学路が途中まで同じなので、一緒に帰っていた。
そこで私は、由良に叶汰の事について聞いてみた。


ここは、やっぱ由良に聞くしかないっしょ!


「ねぇ、由良。叶汰ってさ、優と付き合ってたの?」
「うん、そうだよ〜。三週間くらいで別れたけどね」
「へぇ……」


やっぱ、付き合ってたのか。
でも三週間で別れるって……早くないですか姉さん!


「……で、由良。叶汰とはどうなの?」


さりげなく、由良と叶汰の事を聞いてみた。
由良は顔を少し赤くしながら、手を横に振った。


「何もないよ」
「昨日も聞いたけどさ〜。返事、詳しく聞かせてよ」


粘って聞いてみた。
だって、どうしても知りたいんだもん。
傷つくかもしれない。
そんなことは、わかってる。


でも、知りたいものはしょうがない。
君と由良との関係を、知りたいの。


「……仕方ない。じゃあ依麻に特別教えるよ?」
「……本当!? ありがと〜!」


私は笑みを浮かべ、由良にお礼を言った。
よし……。
心の準備はできた、大丈夫!
私は小さく心構え、由良の顔を見た。


叶汰は同じクラスの亜矢音に告白してふられた
「返事はね……『うん』」
「うん、……え?」


突然、OKフラグ?
あれ、手紙で友達のままって言ってたよね?
あれ、あれれれ?


「叶汰ね、依麻が転校してくる前に、同じクラスの亜矢音ちゃん……わかる? あの眼鏡かけた子。その亜矢音に告白して振られたの」
「え? そ、そうなの?」


待って、新事実発覚。
うっそん、思いがけない事実。


「だから叶汰ね、『俺亜矢音に告ったばっかだし、だから、今はもう少し待って』って。……そのあとのセリフがきゅんとくるんだって!」


由良は次第に顔を緩ませ、少し興奮気味でそう言った。
そして、次の瞬間には満面の笑みで——。


「『お前は、俺の一番の友達だから』だって〜!」


心構え、したはずなのに——。
胸が、締め付けられた。
……ちょっと、こんなんアリ?
三日で失恋? うは、過去新記録だわ。
って、そうじゃなくて!


「——……依麻?」
「っ、あ、あ〜! よかったね!」
「うん! ……きっと、それはまた告白してってことだと思うんだよね」
「そっ……、そうだよね! それって両想いってことでしょ? いやぁすげぇー、いやぁうはらましい〜!」
「今噛んだよね?」
「あは! 気にしないでクダサイ〜! あひょひょ」


馬鹿か私は。
こんな不自然な空元気じゃ、おかしいにきまってる。


でも暗い気持ちを悟られちゃ駄目だ。
由良の邪魔はできない。


叶汰と、両想いだからこそ——。


「……だからさ、依麻。依麻も早く好きな人見つけて、私に教えてよ!」
「…………うん、わかった」


ごめん、由良。
私の好きな人は、叶汰なの。
でも、絶対に言えない。


「……由良も、叶汰との進展があったら教えてね!」
「うん、もちろん! 応援してね?」


悟られないように、虚しいことを言わなきゃいけない。
自分で自分を傷つけなきゃいけない。


でも、


「……もちろん。応援してるよ」


私は、由良の友達だから。
大切な、友達だから。


自分を傷つけてでも、応援しなきゃいけない。






      私が二人の間に入れる隙間なんて、ないんだから。