コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ 134話更新! ( No.512 )
- 日時: 2011/05/08 21:19
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: ty0KknfA)
- 参照: 前髪だけストパーかけたいんだが、上手くいくかな(は
第百三十五話『バレンタイン思考』
次の日——。
「壱、彼女誰さ」
犬ちゃんと壱の前の席の男子が、笑みを浮かべながら聞いた。
またこの話題ですか。
私は耳を傾け、黙って会話を聞いていた。
「はぁー?」
「てか居るんでしょ?」
「いる」
……え。
ええええええええええええええええええええええ!?
壱、彼女居る……の……!?
終わった。バレンタインにチョコ渡す宣言、優にしたばっかなのに。
いや、まだ渡すかどうか考え中だけどね。
彼女さんが居るなら、やっぱ渡さない方がいいよねぇ……。
「やっぱいるんだ」
「や、嘘だって!」
嘘 !?
一瞬だけ安心したが、すぐ不安になった。
これもまた、嘘なのかもしれない。
壱は本当に、彼女が居るのかもしれない——。
そう思っていると、
「ホモ中の人とどうなったの?」
出 た ホ モ 中 !!
そうだ、どうなったんだ壱。
まだ続いてるのか、彼女はその人なのか!?
ドキドキしながら更に耳を傾けると、
「ホモ中とか誰」
壱があしらう様に鼻で笑った。
ちょ、壱さん。
その途端、壱の前の席の男子が騒ぎ出した。
「小塚でしょ、小塚」
「まじ小塚ゾーンだな」
「小塚に狙われるとか可哀想だべ」
こ、小塚って誰……。
もしや、壱に告白した子!?
壱は何も言わず、ただ黙っている。
黙っていると言うことは——……!?
「——壱、ホモ中に狙われてるな」
疾風のこの一言で、追い打ちをかけられた気分になった。
**
給食準備中。
私はカップの列に並び、色々考えていた。
壱の彼女の事、ホモ中、小塚って子、バレンタインの事——。
壱は彼女、居るのかな。
ホモ中で壱を狙っている子、居るのかな。
小塚って子、今壱の事好きなのかな?
本当に——チョコを渡しても、いい状態なのだろうか。
「——おい水城、早く取れよ!」
前から声が聞こえ、一旦考えるのをやめた。
勢いよく顔を上げると、疾風が私に向かってカップを差し出している。
……おのれ、疾風の追い打ちをかける一言のせいで……っ!!
そう思っていると、
「ふ?」
「ふ?」
「ふ?」
疾風がおかしな事を言いだしたので、リピートしてみた。
しかしまた、リピート返しされてしまった。うぅ。
てか、「ふ?」ってなんやねん。
疑問に思いながらも手を伸ばしたとき、
「はい、ヒロ」
「え」
カップは私の手を通り過ぎ、並んでいたヒロの元へ。
……って、えええ。
なんですかこれ、新手な嫌がらせですか。
「……もういいよー」
「はははは」
泣く泣くその場を後にし、カップの列から立ち去った。
聞こえるのは、疾風の大きな笑い声とヒロの小さな笑い声。
見えない疾風の顔はきっと、ドヤ顔をしている事だろう。
ちくしょう、笑ってんじゃねぇぇぇぇ!!!
心の中で叫びながら、私は席に戻った。
そして、また壱の事をゆっくり考えた。