コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華* +実話+ 134話更新! ( No.513 )
日時: 2011/05/08 21:57
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: ty0KknfA)
参照: 前髪だけストパーかけたいんだが、上手くいくかな(は

第百三十六話『彼女にするなら、』


その次の日——。
私は、壱の事を考えていたせいなのか、寝坊した。
寝坊というか、寝坊の域を超えてしまったかもしれない。
まぁ、手遅れな時間に起きてしまった訳なので——。
風邪と言う言い訳を使い、学校に行かなかった。


そのせいなのか、


「水城さぁー。昨日、興奮して学校来なかったんでしょ」
「は?」


寝坊した次の日、理科室で龍にそう言われた。
こ、興奮って——。
寝坊しただけですけど。


「壱のこと考えて興奮してたんだろ」
「はぁ?」
「水城の席、壱の隣だから」


龍がそう言った途端、健吾と疾風も笑いながらこっちに近づいてきた。
あぁぁ、嫌な予感がするぞ。
私は三人を軽く睨む。


「あの子のことを考えて興奮か、水城」
「違うし」
「壱のことが大好きすぎて……ねぇ」
「!? う、うるさい」
「なに、お前に言ってないけど」


疾風と健吾は、冷たい視線で私を見る。
そ、そんな目で見ないでくださいよ……。
私は肩をすくめる。


「疾風は壱が大好きだからな」
「壱、疾風が大好きだって〜」


龍と健吾は、私を見ながら強調するように話す。
当の本人——……壱は、いたって無言。
すると、龍が私の席の横を指差した。


「壱、ここに座っていいよ」
「……俺、転勤した」
「一メートル転勤? こっちからそっちに? あっは」
「…………。ヒロ、龍を何とかしてくれ」


壱の声と同時に、ヒロは龍に襲い掛かった。
龍は奇声を上げながら笑っている。
何なんだ、一体龍は……。
私はそう思いながら、実験器具を触っていた。


**


「——ねぇ、クラスで彼女にするなら誰!?」


授業中、志保ちゃんの明るい声が聞こえてきた。
『彼女』——。
この単語に、最近敏感になってきてしまっている私って一体。


「直樹は誰?」


志保ちゃんは、後ろの席の直樹に話しかけた。
直樹は眼鏡を小さく動かし、真剣に考え始める。


「うーん……。——かおん、かな」
「なんで」
「なんか……、大人しいし」


おぉぉ、直樹はかおんを彼女にしたい訳か!!
かおんと直樹なら、色々お似合いだと思う。
かおん、幼稚園時代からモテてるし……さすが。
そう思っていると、


「壱、クラスの中で彼女にするなら?」


壱 に 会 話 が ま わ っ て き た !!
ちょ、最近彼女の話題が多すぎじゃないですか?
ちなみに志保ちゃんは、壱の席の後ろだ。
いつも志保ちゃんは寝てるから、壱には話しかけないのに——。
こういう時に限って、何故!!

「は? ……え、わかんない」
「じゃあテニス部の女子の中では?」


今度は壱の横に居る、乙葉がそう言った。
乙葉ぁぁぁぁぁ!!!


「え、俺テニス部の女子とか知らないんだけど」
「は? 知ってろよ」
「だってあんま見ないし」


壱のその一言で、なんだか少しだけ安心した。
よかった、テニス部の女子とは関係薄そう……。
しかしそこで会話は終わらず、乙葉はテニス部女子のメンバーを言い始めた。


「あっちゃんに、久美に——……」
「わかんない、誰が誰?」
「えっとね、あっちゃんが——」
「——零の彼女——……」


乙葉と壱は突然声のボリュームを落とし、二人の世界に入った。
ちょちょちょ。
気になる、気になるけど聞こえない——……!!


私はその時間、複雑な気持ちになりながら授業を受けていた。