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Re: *叶恋華* +実話+ 137話更新! ( No.519 )
日時: 2011/05/10 20:45
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tOdZcpTQ)
参照: 小顔になりたいよぉぉぉ←

第百三十八話『あの子と私』


うまくいかないのが、現実。


そんな現実、ぶち壊せたらいいのにな。






「——優、ちょっと聞きたいことがあるんだけど——……」


給食時間が終わり、昼休み。
私は優を呼び出し、廊下に出た。


「何? 依麻」
「……あのさ、給食時間——。私の班と近いからさ、たまたま聞こえちゃったんだけどね。なんか、彼女にしたいのは? とか、マシな人は? とか、色々話してたじゃん!! あれでさ——……、」
「うん」


優と壱は、同じ班。
だから、絶対聞いていたはず。


「——壱の、マシな人って……誰?」


自分で言った言葉なのに、胸が少しだけ締め付けられた。
壱のマシな人——。
壱のあの態度からしたら、好きな人なのかもしれない。
『もしかしたら』の可能性を信じてみたくて、私は恐る恐る聞いてみた。


「——……あぁ〜」


優が笑みを浮かべながら、私を見た。
私は俯き、心の準備をする。


すると、優がゆっくりと口を開いた。




























           「優香ちゃんだって」
























大きく、心臓が跳ねた。
一瞬時が止まったような感覚になり、続いて一気に胸が痛くなる。


「……そっか、」
「うん。……まぁ、落ち込むなー!」
「……うん、ありがと……」


私は顔を上げ、作り笑いを浮かべた。
心の準備をしてたはずだが、やっぱり胸が痛い。


「……優香ちゃん、かぁ……」


その壱の意外な答えに、少しだけ驚いた。
沢井優香ちゃん——。
クラスの女子学級委員長で、陸上部のエース。
足がめちゃくちゃ速くて、大会で何回も賞状をもらっている。
誰にでも優しくて、皆に慕われている。


「……」


壱は、ああ言う子が好きなのかな。
おしとやかで大人しくて、誰にでも優しくて。
頭よくて真面目で運動神経よくて。
見た目も柔らかな雰囲気で、ふわふわしている。
陸上部特有の小麦色の肌に、癖毛のショートカット……。
いつも笑顔で、皆に好かれて。
皆をまとめられて、誰にでも頼られて。
学級代表をやってる子が好きなのかな……?


私は優香ちゃんと違って、ガサツだし優しくないし。
頭悪いし真面目じゃないし、運動神経も悪い。
見た目も柔らかな雰囲気なんてどこにもないし、ふわふわなんかしてない。
肌の色もよく「具合悪いの?」って勘違いされるし、死神みたいな肌だし、髪の毛もなんかギシギシしてるしただ長いだけだし。
楽しいことがない限り、いつも笑顔なんて無理。
皆に好かれるより、嫌われる事の方が得意。
皆をまとめられないし、誰にも頼られないし。
ていうかまず話しかけられないし、友達少ないし。
学級代表とか私がクラスまとめらるわけないし、めんどくさくてやってないし——。


私と優香ちゃん、見事に正反対じゃんか。
うん、正反対過ぎて笑えてくる。


だけど、やっぱ大好きだ。
例え、壱が本当に優香ちゃんが好きだとしても——。
めげないで、
泣かないで、
諦めないで、頑張りたい。
自分の形で、少しずつ少しずつ。




——ほんの少しずつでも、進展していきたい。