コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華* +実話+ 138話更新! ( No.523 )
日時: 2011/05/12 21:48
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 73kQpkiy)
参照: 期 待 さ せ な い で  。

第百四十話『ドキドキ日和』


「——あれ、誰もいない」


次の日の技術——。
移動教室だった為、私と由良は技術室の近くの階段に居る。
しかし誰もまだ来ておらず、一番乗りであった。


「ねぇ、この技術室って開いてんのかな」
「うーん……。わかんない」


階段の所から数m離れた技術室を見て、私と由良は考えていた。
二人しかいないのもあって、なんだか抵抗がある。
そう思っていると、


「——あ、原田くん!」


由良が声を上げた。
見れば、階段から降りてくる草食系メンツ——……。
原田くん、中条、綿津、ヒロ、そして壱が居た。
由良は一番早く下に降りてきた原田くんに、近づいていく。


「ねぇ、原田くん。技術室開いてる?」
「さぁ〜〜、開いてるんじゃない〜〜?」


原田くんは、いつものおっとり口調でそう言った。
その際に私は、ゆっくりと階段を降りてくる壱と——。


本当に、本当に一瞬だけ目が合った。


*理科室*


理科室での授業は、壱関連で何かが起こる。
そう思っていた私は、ほんの少し微かな期待を込め、小さな楽しみを抱いて席に着いた。


「——おぃう、なんだよ壱〜」


すると龍は、早速壱にちょっかいを出した。
すると壱もこっちを向き、龍を見る。


「おう、なんだよ龍」
「ここ来ていいよぉ、壱〜」


龍が指差したのは、やっぱり私の隣。
一瞬心臓の鼓動が速くなり、私はそれを押さえつけるように小さく咳払いをした。


「……」
「あぅ、ごめんって壱! もうそんなこといわないから許して」
「……」


龍が謝っても壱は無言のまま。
もしかして、そんなに私の隣が嫌なんですか?
事実だとしても、やっぱりショックだ。


「壱、ちょっと来て」
「……なんだよ」


壱は返事をしたものの、警戒してるのかその場から動かない。
すると龍は、笑みを浮かべながら変な声を出した。


「おーい、なにやってんだよ壱ー」
「つか龍臭ぇ」


会話、すれ違ってますよ。
龍は自身の着ている制服を指差し、大爆笑しながら言った。


「俺じゃねぇし〜!! 教室の臭いだし」
「臭いー」


そう。実験をする為に、薬品の匂いが教室中に広がっているのだ。
決して龍から匂いを発している訳じゃないが、壱は学ランの袖で鼻を隠した。
すると、


「アキャキャキャキャ」
「え、どうしたのこの子」
「ムッフフ」


龍が壊れた。
壱は笑いながら龍を見ている。
私も龍の壊れっぷりに、思わず吹き出しそうになった。
やっぱり、二人の会話は面白い。
なんというか、沈んでた気分も明るくなるというか……。


私はそう思いながら、まだまだ続く二人の陽気なやり取りを聞いていた。