コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.526 )
- 日時: 2011/05/14 00:34
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: ykFYs.DE)
- 参照: 最近描写グッダグダ←
第百四十二話『問題と解答』
二月七日——。
バレンタインまで、あと一週間。
——さて、どうすればいいのでしょうか。
「——俺、昨日誕生日だったんだけどさ」
「おう」
授業中、突然壱が疾風にこう言った。
壱の誕生日——……昨日!?
と言うことは、二月六日かぁ……。
確かに壱、二月生まれっぽい顔してるしね。
「親、なんも言ってこなくてさ。誕生日忘れられてた」
「おい」
ちょ、壱のお父さんお母さん。
自分の息子の誕生日忘れちゃいけないですよ。
疾風と壱はお互いに笑っているけど、壱は寂しくないのかなぁ……。
男の子でも、やっぱ親に誕生日忘れられたら悲しいと思う。
「——てか壱、なんで数学のワーク出してんの」
「え?」
「今英語の時間だし」
疾風の鋭いツッコミが入る。
見れば、壱の片手には何故か数学のワークが握られていた。
「あはは、間違った」
壱は笑いながら数学のワークをしまう。
英語と数学を間違うっていうの、なんだか壱らしい。
そう思っていると、
「じゃあ、壱に問題な」
「おう」
疾風が得意の問題を出し始めた。
壱もスクバのチャックを閉めた後、疾風を見る。
疾風じゃ笑みを浮かべ、こう呟いた。
「5ab÷20bは?」
「……」
疾風の問題。
それは、壱の苦手な勉強。
皆大好きクイズの問題じゃなくて、数学の問題。
「……もっかい言って」
「5ab÷20bは?」
5ab÷20b。
さぁ、あなたも考えてみましょう。
「…………。よ、4b」
「4aだよ」
「え?」
長い沈黙の中、壱の出した答え。
それは疾風に即却下された。
壱の答えは、間違っている。
だけど壱本人は、気付いてないみたいだ。
「お前、4bつったべ」
「え、……それは俺の耳が悪かった」
壱は挙句の果て、自分の耳のせいにし始めた。
なんだか壱のいい訳が面白くて笑いそうになりながら、堪える。
そして黙って耳を傾けていた。
「じゃあ——」
また疾風が問題を出す。
今度はさっきより少し複雑な問題で、壱の思考回路は混乱している模様だった。
おまけに、
「掛け算」
乙葉に先に言われ、壱はフリーズした。
疾風は笑みを浮かべ、ドヤ顔をし始める。
「はい乙葉ぴんぽん、壱ぶっぶー」
「そ、それは俺のスピードが……」
必死にいい訳をする壱が、なんだか可愛くて。
私はニヤけそうになるのを堪える為、必死だった。