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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.527 )
- 日時: 2011/05/14 00:35
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: ykFYs.DE)
- 参照: 最近描写グッダグダ←
第百四十三話『偶然と些細な動作』
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放課後、掃除の時間。
今日は由良の班が掃除当番なので、由良を待っていた。
バッグとジャンパーを置き、教室の前の廊下の壁に寄り掛かる。
「……」
教室を見れば、ちょうど視界に入るのは窓に寄り掛かる壱の姿。
距離は遠いけれど、ちょうど向かい合う形になっていた。
窓に寄り掛かる壱、壁に寄り掛かる私。
何回か軽く目が合い、なんだか照れくさくなる。
気を紛らわせるため、下を向いて自分の手袋を振り回していた。
「…………」
だけど、やっぱり壱が気になる——。
私は手袋を視界から外し、ゆっくりと顔を上げて壱を見てみた。
すると、壱は下を向いて手に持っているぞうきんを振り回している。
…………あれっ?
それぞれ寄り掛かって、下を向いて何かを振り回している。
なんだか、行動が似てる——……?
たった、それだけなのに。
心が温かくなって、嬉しさがこみ上げてきた。
「——これから、掃除の反省を始めます」
しばらくすると、掃除の反省会が始まった。
壱は、相変わらず私の視界に入るところにいる。
……あ、今軽く目合った!?
本当に合ったかも定かではないが、嬉しくなって一人で舞い上がっていた。
その時、
「——あ」
私の目の前に、人が立った。
人は教室を覗き込むように居るので、私の視界から壱が見えなくなってしまった。
し、視界が遮られる……っ!!
そう思った瞬間、
「っ!!」
壱が横から姿を表し、私の視界に入るような形となった。
こ、これは偶然?
それとも——……?
君にとっては、何気なく動いただけかもしれない。
だけど私にとっては、そんな些細な偶然でも——。
物凄く、嬉しかった。
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