コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *叶恋華* +実話+ ( No.537 )
日時: 2011/05/16 22:59
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: zNloJ7/F)
参照: コンタクトほしい、あの人の顔をもっとはっきり見t(ry

第百四十六話『些細な出来事』


「——じゃあ、学習班仕事して〜!!」


福野がそう叫ぶと同時に、学習班が動き出した。
学習班は——……壱の班だ。
私の心臓は少しだけ高鳴り、配布物を配る壱の後ろ姿を眺めていた。


壱と同じ班だったらなぁ……。
少しは話せたり、何か色々作業したり、協力出来たりしたのかな。
羨ましい、壱と同じ班の乙葉と優と志保ちゃん——……。
そう思っていると、


「っ!?」


突然、理科のワークが自分の視界に現れた。
驚きながら顔を上げると、壱が私にワークを差し出している。
……これは、今日の朝に福野に出した私のワーク……。


ていうか、壱が手渡ししてくれるの!?


「…………」


私は無言のまま、ゆっくり手を伸ばす。
そのまま恐る恐るワークを受け取る。
すると壱は、ゆっくりとワークから手を放した。


たった数秒間の出来事なのに、凄く時間がゆっくりに感じた。


「……ぁ、」


声、出なかった。出せなかった。
私は去っていく壱の後ろ姿を見る。
……めっちゃ、緊張した——……!!
というか、驚いた。
壱ってワークとか配る時、いつも手渡しだっけ?
机に乗っけるっけ?


「……」


私に手渡し、してくれた。
ちゃんと壱の手から、ワークをもらえた。
数秒間だけの、ただ配布物を渡してもらっただけの出来事。
そんな些細な出来事だけど、私の胸の中は嬉しさでいっぱいだった。