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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.566 )
日時: 2011/05/28 22:06
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tVNOFy45)
参照: 傍に居たいよね、うん。

第百五十七話『儚い気持ち』


あなたの中に、私の存在はありますか?


そんなの、ないに決まってるよね。


答えを聞かなくても、わかってる。


——そう思う事だけが、切ないの。


















「彼女が出来た」


君は、そう言って笑った。


「片思いが、やっと叶った」


君は、嬉しそうに笑顔を浮かべる。
——そんな、夢を見た。




「……あー……」


もちろん、今日の寝起きは最悪だった。
なんで、こんな夢見ちゃうかなぁ……。
時間を見る為、無意識に携帯を開く。


“新着メールはありません”


「……学校やだ、な」


私はそう小さく呟きながら、ベッドから起き上がった。
学校行きたくないけど、行かなければ。
逃げてても、これは私の自業自得だから仕方ない。


せめて、何かが変わればいい——。


私はそんな儚い事を願いながら、準備を始めた。


**


学校に着き、私は靴箱に靴を入れた。
学校には既に人がいっぱい居て、皆清々しい笑顔を浮かべている。
バレンタインが終わって、二日が経つ。
どうやらもうバレンタインの話題は出ていないようで、私は安心しながら教室へ向かった。


「壱、結局バレンタイン——」


ドアを勢いよく開けて教室の中に入った瞬間に、耳に入った声。
……最悪、だ。
声の主——龍と目が合い、その場の空気は固まった。
龍の傍には壱や疾風、原田くんや犬ちゃんなどが居る。
私はすぐに目を逸らした。


よりによって、なんで私の机の前に集まってるかな。
……本当、タイミング悪い。悪すぎ。


「……もらったの?」
「——……」


龍の問いかけに、壱は何か小声で呟いた。
もう、バレンタインの話はいいから。
私は必死に心の中でそう叫ぶが、相手に届くはずもなく。


「君の隣のあの子に」


モロ私だよね、うん。
なんで本人の前で言うのかな、それ。


「——犬ちゃんに——……」
「え? ——……」
「原田くんに——」


壱は何か意味の分からない事を呟いていた。
男子たちが壱の方に注目を浴びてるうちに、私は自分の机にバッグを置いた。
そこに居られると気まずい上に邪魔なんだよ、男子軍団よ。


「——壱、あの子って誰だよ」


疾風の口から、その言葉が出てきた。
『隣の席のあの子』だったら、私のことのはずだ。
だけど——……。
壱の口から出てきた『あの子』は、違う人なの?
私の存在やチョコあげた事は、もう眼中にもないの?
私は、これっぽっちも視界に入ってない?


「……」


『片想いが、やっと叶った』


今日見た夢の内容を、思い出してしまった。
やだやだ、なんでこんな時に出てくるんだ。
もしこの夢が事実で、壱に片想いの人が居たら……?
本当だとしても、そんなの信じたくない。


これ以上壱たちの話を聞きたくなかった私は、逃げるように愛奈の所へと向かった。