コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.582 )
- 日時: 2011/06/02 23:11
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: otheHgZZ)
- 参照: 大好きなんだよ。
第百六十三話『自然な気持ち』
捨てきれないこと、
諦めきれないこと、
胸の奥につっかかって、苦しくて。
でも私の言えないこと。
いっぱいあるけれど、私は私なりに足掻いていきたい。
次の日——。
学校に来ると、席替えがしてあった。
席は窓側、後ろの方。
まぁまぁいい席だとは思う。
だけど、もう壱の隣じゃない。
私の隣、は——……。
「……」
「いあさと隣とかね、授業中手紙書いてたらチクってやる」
疾風だった。
ちなみに私はいあさじゃない、依麻だ。
いあさとも読むけど、えまだ。
「——お、依麻〜!」
「おぉぉ、優!」
「席近いね〜!」
斜め前の席には、優が居た。
これで授業中、暇じゃなくなる!!
そう思いながら少し視界をずらすと——……。
「……っ、」
優の隣の席の男子——。
壱の姿が、目に入った。
……壱、優の隣なんだ……。
離れたけど、思ったよりも意外に近い。
でも遠くて——……。
諦めなきゃいけないのに、こんな事を想っちゃう私って。
もう心のブレーキ、きかなくなってる。
いつの間にか頭の中よりも、心の中の気持ちの方が強くなっていた。
**
「——三上」
「水城なんだけどな」
「そのポンポン、邪魔だべ」
授業中。
疾風にそう言われ、髪留めにしているポンポンを指摘された。
私は最近、髪を縛って学校に来ている。
前までは下ろして行っていたからねぇ……。
「アピールしてるとしか思えないべ」
「!? ち、違うし! 髪長いから縛ってんの」
「なら切れよ」
髪は、切らない。
今回は、伸ばす。今回こそは伸ばす。
私は心の中で、そう誓っていた。
だから髪を切る訳にはいかなくて——。
中学二年生から伸ばしている髪の毛は、もう胸の上辺りまで伸びていた。
「もっと自然にしろよ。冬香みたいにさ」
前の席の冬香ちゃんを見る。
冬香ちゃんはショートヘアで、何も結んだりしていない。
……疾風、ショートヘアで自然な人が好きだもんねぇ……。
疾風の彼女サンも、男の子かと思うくらいボーイッシュな見た目だし。
——でも、自然……かぁ……。
なんだかその言葉が、やけに心に響いた。
やっぱり自然が、一番なのかな。
無理に背伸びするより、自然にしていた方がいいのかな。
無理に諦めようとするより、やっぱり自然に好きのままでいて……いいのかな——……?