コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.583 )
- 日時: 2011/06/03 21:51
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5gZrZwZo)
- 参照: 気付いてるくせに、貴方は知らんぷり。
第百六十四話『好きの気持ち』
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あっという間に放課後になる。
壱と隣の席の時は、時間が経つのがとても早く感じた。
だけれど、こうして席が離れて——……。
なんだか、心にぽっかりと穴が開いた感覚がした。
「——あ〜」
そんなとき。
教室に居た壱が、突然学ランを脱ぎ始めた。
偶然壱の方を見ていた私は、脱ぐ瞬間を見てしまう。
——ぶ、スタイル良すぎ……っ!!
なんだあの細い腕! あの細い腰!! あのスタイルのよさ!!!!
私は思わず目を丸くしながら、壱の背中を見つめていた。
学ランの中のTシャツは、とてもセンスがいいものであった。
白地に少し派手なデザインに黒袖の服。
スタイルのいい壱には、とても似合っていた。
服も壱もかっこいい……。
私はその場で見とれていた。
「——じゃあ、壱またなー」
「うん」
ジャージに着替え終わった壱は、こちらに向かって近づいてきた。
ひ、ひぃぃ……っ!!
壱はこっちの方向いて歩いてるけど、私は壱の顔が見れなかった。
少しずつ距離が近づいていく度、胸が高鳴る。
距離が埋まるほど胸が締め付けられるようにドキドキして、体中に熱が帯びて——。
「……っ」
私は耐えきれず、俯いて壱の顔から目を逸らした。
壱が横を通り過ぎ、柔らかな風が頬を撫でる。
それは、なんだか妙にくすぐったくて。
「……」
果たして私は、このままの状態でいいのだろうか。
やっぱ心に嘘をつくことは、出来ない。
好きなら好き。
そういう考え方じゃ、駄目かな?
諦めようと思っていたけれど——……。
やっぱ、諦めたくないもん。
壱を見ていたら、心も頭も狂いそうになる。
矛盾も発生するし、感情が爆発する。
ペースを乱されっぱなしだけど——……。
私は、まだ壱が好きだ。
大好きだ。
『それなら諦めんなって! 依麻は壱の事、好きなんでしょ?』
『好きなら無理に諦める必要なんかないよ』
由良と優の言葉が、頭をよぎった。
好きなら、無理に諦める必要なんか——……ない。
ないん、だよね?
それだったら、まだ好きでもいいよね?
いいん、だよね……?
それならまだ、取り消しがきく?
頭の中の考え、消してもいいかな?
心の中の答えを、突き通してもいいかな?
「…………」
ねぇ、壱。
——やっぱ、まだ好きでいちゃ駄目かな……?