コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.584 )
- 日時: 2011/06/05 22:04
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 7XXeC3xS)
- 参照: 君がくれた勇気は おっくせんまんおっくせんまんっ←
第百六十五話『嘘をつけない心』
やっぱり、まだ好きなんです。
大好き、なんです。
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次の日——。
「……」
壱の後姿が視界に入り、思わず見とれてしまった。
その背中を見て、胸が高鳴る。
やっぱり、私は壱が好きなんだ。
気持ちに嘘は、つけない。
——やっぱ、好きなら諦めない方がいい。
諦めて後悔するより、諦めないで後悔した方がよっぽどマシ。
改めて、心の整理が出来た気がした。
迷惑かけない程度に、頑張ろう。
壱の好きな気持ちを信じて、頑張ってやる。
**
「——壱、美術の教科書持ってきた?」
「あー、忘れたー」
美術の授業で美術室に行くとき、壱が後ろに居た。
壱と原田くんの会話が聞こえる。
「——依麻、待ってー!!」
その二人の会話がかき消される程、大きな声。
……声の主は、もちろん由良だ。
私はゆっくりと振り向いた。
「!」
その際に、後ろに居た壱と目が合った。
私は慌てて壱から由良に視線をずらし、また前を向く。
由良も私の隣に来て、話しながら廊下を歩いた。
……ドキドキ、半端ないっす。
「——じゃあ、また前の席で座ってください」
美術室に入ると、そう指示をされた。
前の席……っていったら、やっぱり壱の隣だよね。
席替えして離れても、美術室で隣になれるなんて——。
心の中が嬉しくなりながら、自分の席についた。
続いて、壱も私の隣に座る。
やばい、ドキドキする……っ!!
自分の心に嘘をつかない事で、変な気持ちや複雑な気持ちにはならない。
そのせいで、前の時よりドキドキが倍増していた。
「——壱、俺メアド代えたいからさぁ〜。早くメール頂戴よ」
心のドキドキを抑えていると、犬ちゃんが壱に近づいた。
犬ちゃんは尻尾を振っているが、壱は軽く頭を掻いて犬ちゃんを見る。
「めんどくさぁい」
「えぇぇ」
もっとも壱らしい台詞を聞いた犬ちゃんは、困った顔で笑っていた。
壱はめんどくさがり屋だからねぇ……。
そう思っていると、
「てか俺さ、携帯なくした。なんかどっか行って、そのまま見つからない」
壱は無邪気な笑みを浮かべて、そう言った。
——……ん?
携帯なくした!?
……て、ことは……?
もし大分前からなくしてたのだとしたら、バレンタインの時に返ってこなかったのは、それのせいだってことも考えられるよね?
そうとは限らない、けれど。
だけど、そう考えたら少しだけ気持ちが前向きになれた気がした。