コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.586 )
- 日時: 2011/06/09 23:29
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: JZOkdH3f)
- 参照: 君がくれた勇気は おっくせんまんおっくせんまんっ←
第百六十六話『片想いDays』
一途上等、
片想い上等だ。
次の日の体育——。
女子はステージ側でバスケ、男子は反対側でマット運動をしていた。
体育館という場所で、男子の体育——壱の姿を見れるっていいよね。
あいにく、私は目が悪いので見えませんけど。……くそ。
それでも私は、必死に壱を探していた。
四組の男子もいるので、ごちゃごちゃしていて見つけにくいが……。
「……おっ」
それでも、なんとか壱らしき赤いTシャツの人を見つける事が出来た。
見つけるのと同時に、壱らしき人が背中から落ち、マットの上で潰れる。
壱らしき人は、自分の頭をかきながら小さく笑っていた。
やばいやばい、失敗してもかっこいい……!!
「依麻、次だよ」
「あ、おうけいっ!」
「依麻、こっちこーいっ」
壱らしき人に見とれていると、横に居た愛奈に肩を叩かれた。
それと同時に、由良がボールを振り回して合図をする。
由良と一緒に、バスケのパス練習だ。
壱にいい所を見せ「依麻ー、パースっ」
「え、あ、ありゃあー」
水城依麻、バスケは苦手分野でした。
**
体育が終わり、理科室での実験。
なんだか最近、理科室での実験が多い気がする。
……気のせいか?
でも席替えしてから、理科室は初めて。
壱の班とは隣だが、壱の席は私の後ろ。
なので振り向かない限り顔は見れない。
正面から顔が見れればいいのになぁ……はぁ。
私はそう思いながら、実験器具を触っていた。
すると、同じ班の龍と健吾は隣の班——つまり、壱の班の方を見つめていた。
そして二人は笑みを浮かべ、こう呟いた。
「そんなに見ててぇのかよ」
「……っや、そういうわけじゃねぇし!」
龍と健吾のからかう口調に対し、壱の焦った口調。
疑問に思ったが、振り返る訳にもいかず。
そろそろ実験が始まるので実験器具に触れるのをやめ、配られたレポートに名前を書いた。
**
「——どれどれ」
実験の最中、ふいに壱の声が聞こえてきた。
壱にしては珍しい、弾むような声。
私は思わず振り返ってしまい、壱の方を見た。
壱はテーブルに手をつき、興味津々な顔でビーカーの中を覗いている。
壱かっこいいなぁ……。
そう思いながらしばらく見つめていると、それに気づいた壱がこちらを見た。
「っ!」
私は顔を逸らし、慌てて見なかった振りをする。
あ、危ねぇ……。
ずっと見てたなんて知られたら、絶対気持ち悪いって思われてしまう。
私が小さく溜息をつくと同時に、壱も目を逸らし、再びビーカーの中を実見始めた。
「……」
やっぱ、好き……だなぁ。
片想い特有の何ともいえない胸のもどかしさに、私はもう一度溜息をついた。