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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.60 )
日時: 2011/01/29 23:31
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3JMHQnkb)
参照: まーぐなーむ(・3・)プップー

第十二話『自分の生き方』


そんなことを思いながら、また少しずつ平凡な日常が流れていった。
前は、毎日が戦争みたいだった。
今、こうして平凡だけど——。
悩みは、数えきれないほどあった。


そんなある日の帰り道。
その日は由良とは帰らず、珍しく愛奈と帰っていた。


「……最近、依麻元気ない気がするんだけど、大丈夫?」


愛奈にそう言われ、私は思わず驚いてしまった。
——見透かされてた?
私は慌てながらも笑顔を作り、横に手を振る。


「大丈夫だよ」
「そう? ……辛いときはさ、空を見上げればいいんだよ。こんなちっぽけな世界でもさ、空は無限に広がってるんだよ」


愛奈が、空を見上げながらそう言った。
今日の空は、綺麗な青空だ。
青空を見れば、私は毎回怜緒の顔を思い出していた。
だけど、もう。
思い浮かぶのは、怜緒の顔じゃない。
叶汰の顔なわけで。


「悲しいときは、笑って? どんなに辛くても、一回笑顔になる。それだけで、こっちは元気になれるじゃん。馬鹿らしくなって、暗い気持ちが吹き飛ぶでしょ?」


愛奈は笑顔でそう言った。
どんなに辛くても……一回笑顔になる……?


その言葉を聞いた瞬間、どこか心が軽くなると同時に風が吹いた。
——風が押してくれる。
諦めかけてた、気持ちを。


「笑顔は幸せの魔法だよっ! ……なんちゃって。ちょっとカッコつけてみた」


笑顔は幸せの魔法——。
どこかで聞いたことがある。
まさに、愛奈が言ってる言葉。
愛奈の言葉は一つ一つをメモりたくなるくらい、いい名言だった。


いい生き方をしているんだな、愛奈は。
なんだかやけに、自分の胸に響いた。
涙が出そう。
今の自分の心に言われてるみたいで。


はっきり言って、由良と叶汰を見てると辛いわけで。
でも、愛奈の言う通りに。
どんなに辛くても笑っていよう。
空を見上げてみよう。
それだけで、きっと幸せになれるから。


「……愛奈、ありがとう」
「ん? なんで依麻がお礼いうのさ」
「なんか元気出た。本当ありがとう」
「……なんか、照れるなぁ」


愛奈は照れたように笑みを浮かべた。
そうだよ。
諦めないで、頑張ってみよう。
自分のやるべき事を見つけてみようか。
カッコ悪い生き方でもいい。
私は、自分を捨てない。自分を信じる。


もちろん、由良のことは応援する。
二人が両想いだって、いいじゃないか。


私は両想いになれなくてもいい。
だけど、諦めたくはない。


明日から少し、見つめ方を変えてみようか。
ただ望むだけじゃ、駄目だよね。
ただ我慢するだけじゃ、絶対駄目。


明日からは、少しずつ。
少しずつだけど、頑張ってみようかな。







      叶汰と友達になれるように、頑張ってみよう。