コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.603 )
- 日時: 2011/06/18 01:16
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: SG2pzqrf)
- 参照: 大好きだぁあぁぁぁぁ←
第百七十五話『私は私なりに』
たくさんの人に愛されるよりも、
たった一人、貴方から愛されたい。
そう思う私は、我侭ですか?
『壱、恋しちゃったの?』
犬ちゃんのその言葉が、ずっとぐるぐると頭の中を回っている。
恋、こい、コイ……?
あの後の家庭科の時間も、結局作業をほったらかしのまま、ずっとこのことを考えていた。
最近、犬ちゃんと壱は仲いいし——……。
どっちかっていうと、犬ちゃんが壱にべったりしてる感じだけど。
そんな二人は意外に息もピッタリなので、周りからは「さすが、W珠紀」なんて言われている。
まぁ私から見ても、二人はいいコンビで——……。
……って、二人の事じゃなくて!!
そんなこんだで思考がズレながらも、昨日のモヤモヤとした一日終わり——。
現在、朝の会の最中。
しかし、壱は珍しく朝の会で爆睡していた。
……しかも、ジャンパーを着たまま。
「——あの、できればジャンパーを脱いでほしいんですが……」
ジャンパーを着たまま爆睡している壱に、福野は声をかけた。
しかし、壱は爆睡している為、全く反応なし。
それを見た福野は、日誌を教卓に叩きつけた。
朝から派手な音が、鳴り響く。
「壱!!」
「っ!? ——……?」
大きな音と福野の怒声で、壱は慌てて飛び起きた。
そして寝ぼけているのか、辺りを見回して茫然としている。
「……壱、ジャンパー脱いで」
「…………」
周りから笑い声が聞こえ、状況を理解したのか壱は前を向いた。
そしてまだ寝ぼけた顔で、目を擦りながら無言で頷く。
その横顔が見えた私は、思わず目を見開いてしまった。
……っね、寝起きの顔……っ!!
やばい、めっちゃ寝起きの顔可愛い……!!
家でもこうなのかな、こんな寝起きの顔するのかな?
やばい、今日は朝からツイてる気がする——!!
私のテンションは、その出来事で一気に上昇することになった。
**
「——……眠いの?」
朝の会が終了し、一時間目。
壱の前の席の志保ちゃんは、珍しく壱の方を向いてそう呟いた。
「……」
壱は無言で、ゆっくりと頷く。
志保ちゃんは軽く吹きだし、壱の机を軽く叩いた。
「ちょ、壱ー! 目瞑ったまま返事しないでよ!」
「……」
「壱、何時に寝たの?」
「——……時半」
「ふぅーん。志保が殴って起こしてあげよっか?」
「いや……遠慮します」
壱は眠そうな顔で、小さく笑った。
志保ちゃんも壱の方を見て笑みを漏らす。
いいなぁ、志保ちゃんはあんな風に壱と話す事が出来て——。
私にとっては、本当羨ましい。
私もあんな風に、壱と話してみたいよ……。
両想いになりたいなら、まず会話からだろ。
もう半年近く壱が好きなのに、私は会話をするという壁ですら乗り越えていない。
こんなんで壱に好きになってもらえるはずが、ない。
わかってる、そんなのは十分にわかってるけど。
やっぱり、君に好きになってもらわないと意味がないよね。
好きの気持ちがこんなに積もって行く、恋心。
「……」
——君が恋したっていうのが気になるところだけど——。
私は私なりに、頑張ってみるか!!