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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.608 )
日時: 2011/06/27 18:01
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: qNIh9ax1)
参照: 大好きだぁあぁぁぁぁ←

第百七十八話『冷やかし』


「お姉ちゃん、壱と付き合ってるさ」
「っ!?」


家庭科室での授業の時、突然優がそう言った。
い……、壱?
優のお姉ちゃんが壱と……?
私は布を縫う手を止めた。


「なぁーに反応してんのさ、依麻」
「はっ!? は、反応してないし」


優に見透かされ、私は慌てて否定した。
思いっきり動揺してる、私。
優は笑みを浮かべ、


「壱」


私の好きな人の名前を、耳元で呟いた。


「……っ」
「反応してんじゃん」
「し、してないしっ!!」
「私のお姉ちゃんは壱って人と付き合ってるけど、
依麻の好きな壱と違うよ」


知ってるよそんなのぉぉっ!!
心の中で叫んだ。
ていうか、優の声でかいし!!
周りに聞かれてるでしょこれ。


「てか優! 壱にメールで?」


由良も勢いよく身を乗り出し、大きな声でそう言った。
君達、壱の名前だしすぎぃぃぃ!!!!
壱違いでも、私の好きな人本人はそこにいるし。
勘違いされるじゃないか、馬鹿ー!


「つか珠紀壱ってさ、」


フ ル ネ − ム き た
由良、声でけぇぇ!!


「……っ」


どんどん、自分の顔が赤くなっているのがわかる。
ここに、居たくない。


「依〜麻ぁ〜」


由良と優が、ニヤニヤしながら私を見る。
恥ずかしさは止まらず、


「……っも、やだ!」


私は、慌てて顔を伏せた。
——最悪。
さっきの数学の授業の時だって、ただでさえ最悪だったのに。


『俺、チラ見されるの——なんだよね』
『イライラする』


壱の声が、頭の中で響く。
チラ見でもイライラしてるなら、こういう冷やかし行為みたいなのでは、そうとう腹立っているだろう。
これ以上迷惑かけたくないのに——……!!


「水城、顔あげろー」


由良が笑い交じりに、私の横腹をくすぐった。
顔なんか、上げたくない。
……もう、やだ。


早く、チャイム鳴って——。
そうひたすら願うことしか、出来なかった。