コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.612 )
- 日時: 2011/06/27 21:10
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: qNIh9ax1)
- 参照: 大好きだぁあぁぁぁぁ←
第百八十話『志保ちゃんの好きな人』
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その日の放課後——。
学校帰りに寄り道をして、由良とプリクラを撮ることにした。
「依麻、プリクラに顔認識されてない」
「うわ、まじだ……。顔やば!」
落書きをしながら、私達は笑っていた。
学校で色々とあったので、上手く笑えてない気がするけど……。
≪印刷の間に、プリアルバムを見る?≫
落書きが終わり、画面に表示されたその言葉。
由良は手慣れた手つきで『はい』を押した。
「誰か知ってる人いるかな〜」
画面に映っているプリアルバムを見ながら、由良は呟いた。
私も誰か知ってる人はいないかと、必死で目を追う。
その時、
「——あっ! これって——」
私の目に、ある人物のプリクラが目に留まった。
由良も手を止め、私が指を差したプリクラを見る。
「志保ちゃんじゃない……?」
違うクラスの志保ちゃんの友達と、志保ちゃんのプリクラ。
その落書きには、志保ちゃんの所に『片思い』と書かれていた。
——『片想い』——……。
少しだけ、嫌な予感がした。
「あ、志保じゃん」
由良は笑みを浮かべてそう言った。
私は上手く笑顔を浮かべる事が出来ず、真顔のまま由良を見る。
「……ねぇ、志保ちゃんって前に聖と付き合ってたよね」
「? そうだよ」
「今、さ。……誰に片想い、してるの?」
壱、かもしれない。
志保ちゃんは、壱が好きなのかもしれない——……。
私は覚悟を決めて、由良の返事を待った。
「聖のままだよ」
「……へ?」
由良の意外な返事に、私は拍子抜けた声を出す。
壱……じゃないの?
聖のまま、なの!?
「聖って、志保ちゃんの元カレのあの聖……だよね?」
「うん、元カレ」
やっぱり、同じクラスの聖なんだ——。
壱じゃ、なかったんだ……。
「……そっかぁ……」
ただの、私の勘違いだったのか……。
私は小さく溜息をついた。
なんだか、ホッとした。
志保ちゃん好きな人は、壱じゃなくて聖。
志保ちゃんは、ライバルじゃなかったんだ。
でも、なんで志保ちゃんはここ数日、壱にベタベタしてたんだろう。
そんな疑問が頭に過ったけれど、とりあえず消しておいた。
……私が今考える事は、こっちじゃないよね。
明日から、壱の事……どうしよう。