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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.621 )
日時: 2011/07/01 23:44
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: u5JYbeHw)
参照: それはハッピー?←

第百八十二話『卒業式』


**


三月——。
お別れの季節のイベントと言えば?


——そう、卒業式です。


「依麻ーっ!」


そんなこんなで、光葉中学校も本日卒業式。
いつもより静かな教室に入ると、優が思い切り飛び込んできました。
予想以上にヒットした優のアタックは、胃が飛び出そうな位痛かったです。


「お前、昨日メール送ったんだぞーっ」


優は私の両肩を掴み、激しく揺らす。
私は体を思い切り揺らされながらも、ゆっくり口を開く。


「地震の影響でメール送れないし来なかったし、インターネットも接続出来なかったんだよー」
「え、まじで?」


揺れながらそう言うと、優は目を丸くして手を止めてくれた。
た、助かった……!
軽く咳払いをし、細かく頷いた。


「……ていうか、今日静かだねぇ」


由良の一言で、優も私も顔を上げる。
いつも以上に教室が静かなので、教室を見渡す。
見れば、壱たち草食系男子グループ達は窓の方に寄り掛かって無言でこちらを見ていた。
……な、なんでこんな沈黙……?
疑問に思いながらも壱たちの方から視線を逸らすと、


「——昨日、メール出来なかった」


壱もそう話し始めた。
一瞬驚いて壱の方を見そうになったが、やめておいた。
……だけれど、さっきまで私が話していた事を壱も言うなんて——。
少しだけ、ほんの少しだけ——……。


ドキッと、してしまった。



**


なんとか卒業式が終わり、教室に戻る。
その際に皆伸びをし、朝は静かだった教室が一気に騒ぎ始めた。


「いやぁ、感動したわーっ」
「なんか俺、泣きそう」
「私らも卒業するとき、あんな感じなのかなー?」


周りの男女の声が響く。
確かに卒業式、泣きはしないけれど感動した。
私たちも来年その立場になるんだから……。
なんだか、他人事とは思えなくなってるんだよね。


そう思っていると、


「……あー……」


壱が目を擦りながら教室に入ってきた。
……もしかして、泣いてる?
いや、でも壱がそんな風に泣く人だとは見えないし——。
いやいや、それでも壱はギャップのかたまり。
いやいやいや、でも表面は無愛想だし——。
え、やばいやばい。


「——壱、」


優もその壱の異変に気付いたのか、壱の肩に手を置いた。
壱は慌てて目を擦り、優を見る。


「っ、ん?」
「……泣いてんの?」
「泣いて……、ねぇし」


壱はそう呟き、そっぽを向いた。
ちょ、今の口調やばい……っ!
ちょっと拗ねてるようで、強気な言い方。
ここまでドキドキするものとは——。


……駄目だ。
日に日に、本当に些細な事でもドキドキしてしまっている自分が居る。