コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.632 )
- 日時: 2011/07/08 01:22
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: m.NeDO8r)
- 参照: ふぁっきゅー☆←
第百八十七話『合言葉は、』
次の日——。
壱は今日もテンションが高く、男子たちと笑いあっていた。
これぞ青春? 爽やかなオーラが見えるぜ。
私はその光景を傍観しながら、小さく溜息をついた。
……私も青春、したいです。
そう思っていると、窓のほうに寄り掛かっている壱と目が合った。
大分伸びた壱の髪。
それにプラスされた気だるけな表情が、またかっこいい。
「……」
ちゃんとした青春は出来なくても——。
好きな人をこうやって見れることが出来るだけでも、私は幸せなのかな。
これが“幸せ”なのならば、この幸せを大切にしていきたいな。
過ぎゆく季節は、もう二度と戻らないのだから。
**
「依麻、聞いてよ〜……。今日綿津に告白したいと思うんだけどさぁ」
「え、まじ!?」
優の突然の、カミングアウト。
理科室に入った瞬間に聞いたその言葉に、私は大声を出して驚いてしまった。
「なんで告るの? 直接?」
「実は、もう手紙渡したんだよね……」
「なにぃぃっ」
優、行動が素早い!!
……それにしても、なんで綿津はモテるのだろうか……。
ていうか優、門倉一筋じゃなかったっけ?
その二つが私にとって凄く疑問だったが、とりあえず気にしないことにした。
人にも色んな恋愛があるからね、うぬ。
そう思った瞬間、
「ジョセフィーヌとジョンソン」
低いけれど甘い、私の大好きな声が聞こえてきた。
だけどいつもより、声のトーンは明るい。
……って、え!?
今、なんつった?
「……っ」
私は目を丸くして、壱を見る。
壱と軽く目が合ったが、華麗に逸らされた。
ジョセフィーヌとジョンソン。
壱は、いつもの調子でそう言った。
確かに、この耳で聞いた。
たかが、ジョセフィーヌとジョンソン。
されど、ジョセフィーヌとジョンソン。
何故私がこれほど驚いているのか。
それは——……。
『ジョセフィーヌとジョンソン』という言葉は、由良と私がつけた二人の合言葉みたいなものだったからだ。
私がジョンソンで、由良がジョセフィーヌ。
ふざけてるときに、よくその名前を使ってお互いを呼んでいた。
ほとんどの人は、この会話なんて知るはずもない。
なのに、なんで壱が……?
「……」
驚いたけど、嬉しかった。
偶然だとしても、それでいいと思えた。
壱と考えてることが似てるといいなぁ、なんて。
そんな馬鹿な期待を抱いてしまう私がここに居た。